大量生産・大量消費の時代は終わった現在、消費者はより質や心の満足を重視している商品やサービスを求めています。
過去では中小企業の商圏は限られ、競合も限られ、守られていた面があります。
しかし、インターネット技術の発展により、業種や地域を超えて消費者は日本全国・全世界の競合他社と比較し、自分のニーズを最も満たせるものを購入することができるようになりました。

このような背景の下で、お客様から選ばれるために WEB 戦略を明確にすることが不可欠です。
今回のブログは、「競合サイト分析で差別化と訴求ポイントの洗い出す方法」と「戦略に基づいたウェブサイトの作り方」を紹介します。

WEB 戦略とは?中小企業にWEB戦略が必要な理由

きれいな写真を撮って頑張って毎週 SNS を更新しているけど、フォロワー数はなかなか増えない….
リスティング広告を出稿するしかないけど、CPA(成果1件あたりの広告費)が高くなって、結局赤字になってしまう….
様々な WEB 施策をやってみましたが、いずれの方法でも効果はありません。
その原因は戦略がないことだと思います。
ウェブサイトも同じです。ユーザーのニーズを満たさないと、目的を達成するのが難しいでしょう。

戦略とは、長期目線、大局的視野において継続的に成長を遂げていくための指針やアクションプランのことです。
WEB 戦略とは、戦略に基づき、成功や目標を実現するため WEB で行う活動を総合的に計画・設定することです。

戦略がないから、お客様から「選ばれる理由」がないです。
競合相手との競争に勝つ・厳しい市場の中で生き残るため、インターネットの活用は自社を進化させるチャンスを掴むため、特に中小企業にとって WEB 戦略が非常に重要だと思います。

参考:総務省『令和5年 情報通信に関する現状報告の概要 デジタル活用の動向
参考:生活者と“つながり続ける”時代、長期的でパーソナルな関係をどう築くか
関連記事:Webマーケティングとは?中小企業がWebマーケティングを活用する理由と背景を解説します。

競合サイト分析で差別化と訴求ポイントの洗い出す方法

戦略をどのように立てますか?
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という孫子の兵法の名言があります。
戦略を立てる前に、まずは競合相手やお客様を調査・分析しないといけません。

「SWOT 分析や 3C 分析などのフレームワークを聞いたことがありますが、よくわからない….」
「調査・分析って大企業がやることでは…」と思う方が多いでしょう。
しかし、中小企業でも簡単でコストもかからない調査・分析方法があります。
それは自社の競合相手サイトを調査・分析することです。

ユーザーが SNS や YouTube の動画、WEB 広告などを見て、企業との接点(商品購入や資料請求)は基本的にウェブサイト(ホームページ)で発生します。WEB 戦略(WEB マーケティング)の土台としてのサイトを調査・分析することが、自社を客観視する最も効率的な方法です。

競合サイトを分析する際に、以下の3つの手順で行います。
⦿ 競合サイト(サービス)をピックアップする
⦿ チェック項目をもとに調査内容をまとめる
⦿ 自社の訴求ポイントを設定する

それでは、「写真年賀状印刷サービス」という事例を挙げながら、それぞれの手順を説明します。

競合サイト(サービス)をピックアップする

まず、自社と似ている商品・サービスを優先的にピックアップします。

「写真年賀状印刷」と類似しているサービスは以下です。
写真年賀状印刷 > 年賀状印刷 > 電子年賀状

電子年賀状サービスの詳細ページを細かく比較しなくても問題がありません。
代替競合となるので、その訴求を把握したほうがいいかもしれません。
※代替競合:異なる商品・サービスを販売している場合でも競合になり得ること。

また、ほとんど同様の機能や価値を有する普通の年賀状印刷サービスと差別化するため、代表的な2社ほどを選定してもいいでしょう。「写真年賀状印刷」というキーワードで検索し、会社規模を問わず5社~8社をピックアップします。

チェック項目をもとに調査内容をまとめる

ピックアップした競合サイトを分析し、以下の項目で調査内容を整理します。
サイトの目的や施策によってチェック項目が違いますので、ご注意ください。

チェック項目 説明
キャッチコピー 人の注意を引く宣伝文句
商材の強み お客様に対して訴求する、「機能」「特徴」「効果」など
サービス 内容や料金、価格など
CTA(行動喚起) 起こしてほしい行動(お問い合わせ・資料請求・事例など)
デザイン イメージやフォント、カラーなど
コンテンツ 情報量や構成、流れなど
所感 参考できるポイントなど

下記は筆者が作成した競合サイト調査・分析シートです。

自社の訴求ポイントを設定する

業界中での自社のポジションを明確にするため、整理した情報をもとに分類・分析することが必要です。
ポジショニングマップを作成し、自社の立ち位置やポジションがわかりやすくなります。ぜひ作ってください。
例えば、競合サイト分析を行い、写真年賀状印刷サービスの差別化ポイント(画質が良い、個人のお客様が多い、細かい調整が可能など)を洗い出し、下記のポジショニングマップを作成しました。

※注意点※
⦿ 軸を考えるときはターゲットやサービスの着目点から考えてください。
⦿ 2つの軸はそれぞれ独立性の高いものを設定してくさい。
例えば「価格が安い」と「コストパフォーマンス」を軸にするのは意味がありません。

戦略に基づいたウェブサイトの作り方

競合サイトの調査・分析を行うことで、WEB 戦略(ユーザーに伝えたいことやターゲットユーザー)を明確にしました。
次は、そのメッセージを確実にウェブサイトに反映していきます。
しかし、「見た目は格好いいのに、思うような成果が上がらない」「必要だと思われる情報は掲載しているはずなのに、いまいち反応が薄い」のようなケースは少なくありません。

ウェブサイトが重要なのは、表層をいかに飾るかではありません、ユーザーの課題をどう解決できるかです。
抽象的な戦略をどのようにウェブサイトに移しますか?
それでは、ウェブサイトの5階層概念モデルと視覚的デザインの基本を説明します。

ウェブサイトの5階層概念モデル

戦略を立てる時点では抽象的ですが、5階層概念モデルという考え方でだんだん具体的になっていきます。
どこかのステップで方向性がズレると、戦略メッセージが伝わらない、何も生み出さないサイトになってしまうので、必ず戦略から表層へ、進めてください。

階層 説明
➀ 戦略 誰の、どんな課題を解決したいのか?
➁ 要件 ユーザーが目的を達成するために必要な要件は何かを考える。
➂ 構造 要件を満たすのに必要な要素や情報を整理し、構造化する。
④ 骨格 ワイヤーフレームを作る。ページごとに必要な要素のリストアップ、コンテンツを伝える順番や大きさなど、画面設計を行う。また、ユーザーが起こしたアクションをどう返すかなどの機能的なデザインも決める。
⑤ 表層 ワイヤーデザインを具体的な視覚的デザインに落とし込む。

出典:技術評論社『なぜ,あなたのウェブには戦略がないのか?』P178

視覚的デザインの基本ー視認性・可読性・判読性

戦略をカタチにしない、それではユーザーに伝わらないです。では、誰でも簡単に視覚的デザインをチェックする方法を紹介します。
まず、自分の行動を思い出してみてください。

見やすく読みやすいものは頭にすっと情報が入ってきます。
見づらい場合は、その内容を読み続ける気がなくなってしまいますね。内容を読まないと、サービスについて深く理解することもできません。
しかし、「見やすさ」と「読みやすさ」2つの要素が揃っても、理解・共感しないまま、そのサービスや商品を購入する人はいないと思います。

それでは、視覚的デザインに落とし込む基本としての視認性・可読性・判読性を説明します。

⦿ 視認性 ⇒ 見やすさ
ぱっと見た瞬間に、見やすく認識しやすければ視認性が高いと言えます。
必ず視認性の高い配色や文字になっているかチェックしてください。

⦿ 可読性 ⇒ 読みやすさ
文字や文章の読みやすさを意味していること。
フォントの太さを調整して文字がつぶれないようにしたり、適切な余白をつくったりすることで読みやすくなります。

⦿ 判読性 ⇒ わかりやすさ
文章や内容の理解のしやすさを意味しています。
専門用語が多く、意味が分かりにくいか、誤字脱字があるか、必ずチェックしてください。
ユーザーがサイトの内容を理解しないと、行動する可能性が低いので、図解を入れたり、注釈を付けたりすることで、サイトの判読性をあげていきましょう。

参考:文字の見やすさ・読みやすさ・わかりやすさを決める視認性・可読性・判読性について

最後に

以上は「差別化と訴求ポイントを洗い出すため競合サイトを分析・調査する方法」と「戦略に基づいたウェブサイトの作り方」を解説しました。

戦略が反映されていない、どんなにキレイでカッコイイサイトでも、ユーザーの課題を解決できなければ、成果につながりません。競合相手のサイトコンテンツは自社に適用できない場合も多いです。必ず自社の現状を考えた上で WEB 戦略を立ててください!
なお、ネット上の調査にとどまらず、サービス・商品を利用している人をインタビューすることでさらに深掘ることが可能です。

弊社は 1社でも多くの中小企業が、Webマーケティングで成果を出せるよう正直にアドバイスさせていただきます。
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