Web広告の運用で「インハウス運用」か「広告代理店に外注するか」で迷っている方が多いかもしれません。専門的な広告代理店にWeb広告運用を依頼すれば、経験と知識を活用できるだけでなく、時間も節約でき、その分のリソースを他の重要な業務に割り当てられます。

しかし、Web広告の運用をすべて広告代理店に丸投げしてしまうと、失敗するリスクがあります。なぜならWeb広告の配信目的や必要な情報を整理しておくことは、広告代理店からの提案の質向上だけでなく、キャンペーン全体の成功に大きな影響を与えるからです。
本記事では、Web広告代理店に依頼する際に伝えるべき重要なポイントを紹介します。

Web広告代理店に依頼する理由

Web広告の運用と言えば、主に「インハウス運用」と「広告代理店への外注」の2種類に分けられます。

インハウス運用とは、自社内でWeb広告の運用を行う方法です。具体的には、社内に広告運用の担当チームや担当者を設け、広告キャンペーンの設計、実行、分析までを自社で管理します。一方、広告代理店への外注は、専門の広告代理店に依頼する方法です。代理店は広告運用の専門家が集まり、効果的なキャンペーンを設計・運用してくれます。

Web広告運用代行サービスを提供する企業には様々な特徴がありますが、広告運用を専門の会社に依頼する大きなメリットとして、主に以下の2点が挙げられます。

まず、専門知識と時間の節約です。広告代理店は業界の専門家が集まっており、最新のトレンドや技術に精通しています。これにより、クライアントに最適な広告戦略を提案し、効果的にターゲット市場へアプローチできます。

次に、リソースの効率的な活用です。広告キャンペーンの運用には多くの時間と労力がかかりますが、代理店に依頼することで、クライアントは自社のコアビジネスに集中できます。代理店がデータ分析やクリエイティブ制作を担当するため、広告主はリソースを他の重要な業務に振り向けることができます。

冒頭でも述べたように、Web広告の運用を代理店や専門業者に依頼することには、デメリットも存在します。例えば、依頼することでサービス料や手数料が発生するため、特に小規模な企業や予算が限られている場合、コストが高く感じられることがあります。また、クライアントのビジョンや目的が明確でない場合、運用担当者とのコミュニケーションが難しくなることも少なくありません。

Web広告の効果を最大化するためには、双方が互いの強みや役割を理解することが不可欠です。「Web広告の配信までの流れ」を説明した後、Web広告の運用を代理店に依頼する際に伝えるべきポイントを解説します。

Web広告配信の流れ

広告主(依頼会社)は各段階で重点を置くポイントが異なります。それでは、Web広告配信の流れを紹介します。広告配信は主に「契約前」と「契約後」の2つの段階に分かれます。

▶契約前段階:広告代理店への連絡~提案書の依頼~正式契約
契約前には、広告主が予算や必要なサービスを考慮し、自社の要件を満たす広告代理店を見つけて連絡します。目的や課題を伝えた上で、提案書とシミュレーションを依頼します。提案内容を確認・比較し、最適な広告代理店を選定し、正式に契約を結びます。

POINT: この段階では、費用や提案内容を総合的に評価し、最適な広告代理店を選ぶことが重要です。

 
▶契約後段階:正式契約~Web広告配信~運用・改善
広告代理店と正式に契約を結んだ後は、Web広告を具体的に実施する段階です。通常、広告代理店が広告主のサービスや強みを把握するため、再度ミーティングを行って案件の詳細を確認します。疑問点を解決した後、クリエイティブや広告プラットフォームの設定を行います。例えば、リスティング広告の広告文やSNS広告のバナーなどです。

POINT: この段階では、広告主はクリエイティブやターゲット設定に誤りがないか確認し、広告代理店と共に目標を明確にし、それを実現していきます。

Web広告代理店に依頼時に伝えるべき12のポイント

広告代理店を、自分の好みに合わせて料理を注文できる「料理人」と想像してみてください。例えば、麻婆豆腐を注文するとき、酸味を強めるか、辛さを強めるか、あるいは痺れる味にするかなど、自分の好みを料理人に伝える必要があります。また、1人分なのか、家族3人分なのかで量も変わるので、何人分かを言わないと量が足りないか、浪費してしまうかの問題が発生するかもしれません。

ただし、料理することと異なるのは、その食材は料理人が自分で用意できますが、Web広告においては広告主が材料を提供しなければならない点です。具体的にはランディングページ(LP)や、抽象的にはビジネスモデルやサービスの強みの紹介です。これらの食材(情報)がなければ、料理人(広告代理店)は、広告主が満足する料理を作ることができません。それでは、Web広告代理店に依頼する時に必ず伝える12項目を説明します。

Web広告を実施する「目標と目的」

まずはWeb広告を通じて達成したいことを明確に定義することです。目的とは、最終的に達成したい大きな意図やビジョンを指し、長期的かつ抽象的な方向性を示すものです。一方、目標は、その目的を実現するために設定される具体的で測定可能な達成基準です。目標は短期的・中期的に達成すべき内容を示し、進捗を評価するための指標として機能します。

例えば、Web広告における目的は「自社ブランドの認知度を高めること」や「市場シェアを拡大すること」が挙げられます。これらは全体の方向性を示し、なぜ広告を実施するのかという大きな意図を表しています。

一方で、具体的な目標は「今月のクリック率を2%に引き上げる」や「次の6ヶ月で新規顧客を10,000人獲得する」といったものです。これらは数値で測定可能で、広告キャンペーンの成果を評価し、最終的な目的達成に向けた進捗を確認するための具体的な指標です。

ターゲットユーザー(顧客層の特徴)

あなたの会社のターゲットオーディエンスについて、詳細な情報が必要です。年齢、性別、居住地、興味関心、オンラインでの行動パターンなどのデモグラフィック情報を共有することで、広告の最適化が容易になります。
例えば、、大学生向けの求人広告を配信する場合、年齢や興味関心で絞り込むことで、より精度の高いオーディエンスにアプローチすることが可能です。

広告の予算

Web広告の予算を明確に伝えましょう。Web広告の予算を明確にすることで、キャンペーン全体の計画と管理がしやすくなります。いつどの広告を配信し、どのタイミングで調整や改善が必要かが予算に基づいて決定できます。

予算について、一般的に2つの考え方があります。1つは毎月固定の予算を均等に設定する方法、もう1つは市場やユーザーの需要に応じて適切に変更する方法です。例えば、繁忙期がない商材の場合、毎月固定の予算を設定するのが一般的です。広告アカウントの予算変動が少ないほど、機械学習が安定します。運用面でも広告費の設定ミスを減らすことができます。

それに対して、年末に繁忙期があるギフト商材もあります。翌年1月の広告予算を減らし、未使用の予算を需要が高まる11月や12月に配分することで、柔軟に広告費を調整することで、費用対効果を最大化できます。ただし、この設定は広告主との検討が前提となるのでご注意ください。

また、キャンペーンごとに予算を設定する方法もあります。例えば、奈良と大阪でサービスを展開する奈良の会社が、大阪地域での認知度を強化したい場合、地域別キャンペーンに合わせて日別の予算を設定することが可能です。特にそのような要望がない場合は、広告キャンペーンの予算配分を運用者に任せることをお勧めします。運用者は各キャンペーンのパフォーマンスや関連性に基づき、適切に調整して広告アカウントの成果を最大化するためです。

また、依頼する手数料や消費税込の予算かどうかは、よくすれ違いが生まれやすい部分なので必ず記載しましょう!

広告の配信期間

Web広告の配信期間を伝えることも欠かせません。特定の締め切りがある期間限定のプロモーションがある場合は、それを明確に伝えましょう。
媒体の審査やクリエイティブ制作には時間がかかるため、余裕を持って配信開始時期を設定することが重要です。例えば、希望として今年12月のスタートを目指す場合、遅くとも来年1月までには開始したいと伝えましょう。スケジュールがギリギリだと設定が不完全になり、ミスが発生する可能性が高まります。

広告の配信地域

ターゲットユーザーに効果的にアプローチするには、配信地域を適切に設定することが大切です。これにより、関連する地域のユーザーに無駄なく広告を届け、広告費を削減できます。

地域ごとの法規制や文化に合わせて広告を運用することで、トラブルを避けられます。大阪で配信する場合は、大阪弁を使った広告文にすることで、ユーザーの共感を得やすく、クリック率が向上する可能性があります。特に実店舗ビジネスやエリアを限定する際は、配信したい都道府県とその理由を明確に伝えましょう。

主要なパフォーマンス指標(KPI)

Web広告の評価をどのように測定するかを話し合いましょう。クリック単価やコンバージョン単価、投資利益率(ROI)など、KPIを設定することで、キャンペーンの効果を評価しやすくなります。
例えば、大学生の新卒採用を目的に、企業の認知度を高めるためにX広告(旧称:Twitter広告)を配信する場合、サイトへの流入数を増やすことを目標とし、広告のクリック単価を設定します。

市場環境と競合他社の情報

Web広告を配信する際には、自社の強みを明確にすることが重要です。これにより、他社との違いや魅力を伝え、ターゲットユーザーに対してより訴求力のあるメッセージを届けることができます。また、競合他社やそのWebでの広告に関する情報を提供することで、代理店が競争環境を理解し、より効果的に広告を設計することが可能です。

過去の施策と現在展開している集客施策

過去の施策から得た経験を共有することで、代理店は過去に何が効果的だったか(または効果がなかったか)を理解し、今後の戦略に役立てることができます。例えば、過去、Instagram広告をやってみたがCPAが1万円近くなり費用対効果が合わず撤退したこととか。
現在展開している集客施策と過去の施策を連携させることで、効果的なマーケティング戦略を構築することが可能です。ぜひ、過去の施策と現在の状況や進行中の施策についても広告代理店に伝えてください。

ご希望の広告媒体

配信する広告媒体がある場合は、事前に広告代理店に相談しましょう。というのも、広告媒体の中には広告代理店の業務範囲に含まれていないものもあるためです。
また、一部の広告代理店は特定の媒体に特化していることもあります。これを確認することで、お互いの時間を節約し、自分の要望に合った広告代理店を選定することが可能です。

クリエイティブな要望やガイドライン

具体的な要望があることで、代理店はスムーズに制作を進めることができます。広告のクリエイティブ面(トーン、イメージ、メッセージなど)に関する好みや、特定のブランドガイドラインがある場合は、事前に広告代理店に共有しましょう。

追加のサービスの要望

SEO対策やSNSのオーガニック運用、コンテンツ作成など、追加で必要なサービスがある場合は、事前に代理店に伝えましょう。一部の代理店は、これらのサービスを含む総合的なマーケティングパッケージを提供しています。
例えば、Web広告とランディングページ(LP)制作を同じ会社に依頼することで、PDCAサイクルを効率的に回すことができ、Web上での一貫性のある施策が会社のブランド力向上につながります。

レポートの頻度と報告会の有無

Web広告と従来のマス広告の最大の違いは、広告のパフォーマンス(例えば、昨日にどのくらいクリック数が発生したか、行った調整に効果があったかどうか)を確認・改善できる点です。これにより、広告費用を効果に対して効率的に高めることができます。

広告主にとって、広告レポートを理解し、各指標の意味を把握することは欠かせません。多くの広告代理店は、広告レポートを説明する定例報告会を設けています。レポートの頻度も柔軟に対応することも可能です。例えば、月に1度、振り返りと今後の方針すり合わせのウェブ会議を行いたいとか、毎週月曜18時までに簡単な週次レポートをいただきたいとか。
広告主は、広告代理店に対して広告レポートの内容や報告の頻度を要求するだけでなく、定例報告会で質問したり、実際の状況を共有したりすることができます。それを通じて広告運用の透明性や広告の進めていく方向をしっかり把握したほうがいいです。

上記12項目を下記のような文章にまとめてもかまいません。違う段階で伝えるべき内容や重要視するポイントが異なりますので、その点にご注意いただければと思います。

まとめ

以上、Web広告代理店に依頼する際に伝えるべきポイントを紹介しました。各段階における広告主の役割や目的を以下の表でまとめました。

段階 広告代理店の役割 広告主の役割 目的 重点
広告代理店への連絡~提案書の依頼 ヒアリング 背景や目的、サービス内容を説明する 提案書とシミュレーションを依頼する 方向性の提示
Web広告の提案書 広告代理店の提案書や対応などを評価する 正式に契約する会社を選定する 総合的に評価
正式契約~Web広告配信~運用・改善 Web広告の設計書 配信内容とターゲットユーザーを確認する 配信ミスを防止するための確認 施策の実施
レポートとご報告会 フィードバックと実際の状況を共有する 正しい方向に導く 運用の評価

 
最後に強調したいのは、広告主(依頼会社)とWeb広告代理店(運用側)は対等な協力関係にあるという点です。まず、プロジェクトの成功には広告主からのフィードバックと協力が大きく影響します。エンドユーザーと直接に接触し、広告の効果を最も早く感じ取れるのは現場にいる広告主の会社です。広告主のフィードバックがあれば、Web広告はより現実的で実践的な改善が進み、さらなる成長の機会が広がります。

次に、提案後の対応についての話しです。現在、多くの企業が「無料相談」や「無料診断」といったサービスを提供しています。もし提案内容が採用されなかった場合でも、提案を行った会社に具体的で正直な理由を伝えていただきたいです。相手の立場に立って考えれば、資料の作成にも時間と労力がかかっていることが理解できるはずです。提案後に何の連絡もないと、あまりよくない印象を与えてしまいます。ご留意ください。

当社はGoogle広告・Yahoo!広告の正規代理店です。GoogleやMetaの公式認定資格を持つ担当者が直接対応します。インターネット広告を始めたいが、何から手を付ければいいかわからない、費用対効果を改善したい、代理店の乗り換えを検討している方、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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