Googleアナリティクス(GA4)を導入した後、自社の状況に応じた初期設定を行うことは、データの正確性を確保し、分析の効率を向上させるために欠かせません。また、Google広告など他のサービスとの連携により、Webマーケティングの効果を効果的に向上させることも可能です。

一方、多くの中小企業では、初期設定を外部の専門会社に委託するケースも多く見られます。この場合、適切な権限を付与することが、セキュリティとデータ管理の観点から非常に重要です。本記事では、Googleアナリティクスの「権限設定方法」と「設定時の注意点」について、分かりやすく解説します。

Googleアナリティクス権限の階層と各権限の説明

ユーザー権限を設定する前に、Googleアナリティクスのユーザー権限体系と階層について、具体的に説明します。

ユーザー権限の階層体系


Googleアナリティクスのユーザー権限は「アカウント」と「プロパティ」という二つの階層から管理します。

階層 説明
アカウント アカウントは、Googleアナリティクスを利用するための最上位の管理単位です。通常、1つの企業や組織につき1つのアカウントを作成します。
プロパティ プロパティは、具体的なウェブサイトやアプリ、またはデータストリームを追跡するための単位です。アカウント内で1つ以上のプロパティを作成できます。

 
ユーザーの権限を管理する際には、アカウントレベルとプロパティ単位で分けて設定することが重要です。例えば、A 社は1つのGoogleアナリティクスアカウントを持ち、その中に公式サイト、ECサイト、アプリなど、複数のプロパティを作成することができます。外部会社B 社にECサイトの収益化レポート(eコマース測定)の確認を依頼する場合、アカウント単位ではなく、ECサイトのプロパティに対して権限を付与します。

各権限の説明

「アカウント」と「プロパティ」という二つの階層から設定できるユーザー権限は、以下のとおりです。

権限 説明
管理者 ユーザーの管理を含め、アカウント/プロパティのすべてを管理できる権限です。
編集者 アカウント/プロパティの設定を編集できる権限です。ユーザー権限を管理することができません。
マーケティング担当者 オーディエンス、イベント、キーイベントを作成、編集、削除できます。アトリビューション モデルの設定も編集できます。 「アナリスト」という役割の権限が含まれます。
アナリスト 「データ探索ツール」で作成したレポートを他のユーザーに共有できる権限です。
閲覧者 レポートの表示・操作が可能な権限です。

 
参考:[GA4] アカウント [GA4] プロパティ

オプションのデータ制限とは

また、権限管理画面にが「データ制限」というオプションを選択することは可能です。データ制限も把握していきましょう。

データ制限 説明
コスト指標なし アカウントの費用関連の指標へのアクセス権はありません。(例:Google広告の費用、Google広告のクリック単価)
収益指標なし 収益関連の指標へのアクセス権はありません。(例:合計収益、eコマース収益)

 

Googleアナリティクス権限を管理する方法

Googleアナリティクス権限の管理方法を説明します。「歯車マーク → アカウントのアクセス管理」または、「歯車マーク → プロパティーのアクセス管理」から管理できます。どちらをクリックしたかによって、ユーザーを追加/権限編集/削除することができます。

ユーザーを追加する

ユーザーを追加したい場合は、「+」アイコン>「ユーザーを追加」をクリックしてください。
以下のような「役割とデータ制限の追加」画面が表示されるので、追加したいユーザーの「メールアドレス」、必要な権限を選択して「追加」ボタンをクリックしてください。

ユーザー権限を編集する

ユーザー権限を編集したい場合は、権限を編集したい「ユーザー行」を選択してください。
以下のような画面が表示されるので、権限を編集して「保存」ボタンをクリックすると、ユーザー権限の編集は完了です。

ユーザーを削除する

ユーザーを削除したい場合は、削除したいユーザー行の「・・・」アイコン>「アクセス権限を削除」クリックします。
そして、「アクセス権の削除」画面が表示されるので、確認の上「削除」をクリックしてください。

Googleアナリティクス権限を管理する際の注意点

Googleアナリティクスの権限付与設定を誤ると、自社データの流出につながる可能性があるため、必ず以下の4つの注意点に目を通しておきましょう。

  • アカウントレベルとプロパティ階層を意識する
  • ユーザーごとに適切な権限を設定し、不要な権限を付与しない
  • 権限の管理表を作成、定期的に見直す
  • 「管理者」権限が設定されたGoogleアカウントは複数用意しておく

アカウントレベルとプロパティ階層を意識する

アカウントレベルとプロパティレベルは、Googleアナリティクスの権限設定において基本の管理単位です。
アカウントレベルで設定した権限は、すべてのプロパティに影響を与えます。一方、プロパティレベルでの権限設定は、特定のウェブサイトやアプリにのみ適用されます。ユーザーに付与する権限がアカウント全体に関連するのか、特定のプロパティに関連するのかを明確にして、不要な範囲に権限が及ばないように管理しましょう。

ユーザーごとに適切な権限を設定し、不要な権限を付与しない

ユーザーの役割や業務内容に応じて最適に設定することも重要です。
例えば、アクセス解析データを分析する担当者には「閲覧者」や「編集者」権限を付与し、データの変更や設定にアクセスする必要がない場合は「管理者」権限を与えないようにします。不要な権限を付与すると、誤った操作やデータ漏洩のリスクが高まるため、必要最低限の権限で設定するよう心がけましょう。

権限の管理表を作成、定期的に見直す

Googleアナリティクスの権限を管理するためには、どのユーザーにどの権限を付与しているかを一覧で把握できる管理表を作成することをおすすめします。誰がどのプロパティにどんな権限を持っているかを明確にし、権限の変更が必要な場合にもすぐ対応できます。
また、定期的に権限の見直しを行い、不要な権限の削除や変更を行うことが、セキュリティ対策として不可欠でしょう。

「管理者」権限が設定されたGoogleアカウントは複数用意しておく

退職や異動によって管理者がいなくなることや、管理用のメールアドレスとパスワードを忘れてしまうことで、Googleアナリティクスの管理が滞るケースは珍しくありません。こうした状況を回避するために、「管理者」権限が設定されたGoogleアカウントを必ず複数用意しておくことをお勧めします。

まとめ

Googleアナリティクスユーザー権限を管理する方法と注意点を説明しました。

最後に一つのポイントを説明したいと思います。アカウント親階層の権限はプロパティ小階層に引き継がれます。アカウント親階層より下位の権限を設定することはできません。例えば、アカウントの「アナリスト」権限が設定されている場合は、そのアカウント配下にあるプロパティに対して「管理者」「編集者」権限を追加で設定することは可能ですが、「閲覧者」に設定することはできません。

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