インターネットの発展や新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、自宅にいながら買い物ができるECサイトのニーズが高まりました。企業規模の大小問わず、EC サイトを開設する企業が増えているので、ますます市場競争が激しくなっています。

ECサイトの分かりやすさ、おしゃれなデザインだけではなく、プラットフォーム選定やセキュリティなどをきちんと考慮しないといけません。

本記事は、ECの種類から売れる EC サイトを構築する重要なポイントまで解説します。ECサイトを開設したい方、リニューアルを検討している方、ご参考にしていただければ幸いです!

ECサイトとは

OECD(経済協力開発機構)によるECの広義及び狭義定義は、下記のように提示しています。

▼広義 EC の定義
物・サービスの売却あるいは購入であり、企業、世帯、個人、政府、その他公的あるいは私的機関の間で、コンピュータを介したネットワーク上で行われるもの。
物・サービスの注文はこれらのネットワーク上で行われるが、支払い及び配送はオンラインで行われてもオフラインで行われても構わません。
※双方向電話システム等上で受けた/行われた注文を含む

▼狭義 EC の定義
物・サービスの売却あるいは購入であり、企業、世帯、個人、政府、その他公的あるいは私的機関の間で、インターネット上で行われるもの。
物・サービスの注文はインターネット上で行われるが、支払い及び配送はオンラインで行われてもオフラインで行われても構わません。

※出典:OECD『Guide to Measuring the Information Society, 2009』
経済産業省『令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書』P13

本記事はECサイトの使いやすさ(利便性)に着眼し、狭義 EC の定義を使いたいので、「ECサイト」をインターネットを介して物やサービスを販売するサイトと定義します。

ECの種類

ECと言えば、低単価消費財といったイメージが強いですが、異なる企業同士がオンライン上で出会い、取引を行える BtoB ECもあります。
下記の表が示しているように、3つの基準に分類されることが可能です。

基準 分類
ビジネスモデル ・BtoC EC(企業(主に卸業者と小売店)と消費者との取引)
・CtoC EC(フリマアプリなどのような個人同士の取引)
・BtoB EC(企業・法人間の取引)
業界
業種
・物販系 EC(食品や衣類などの目に見える物)
・サービス系 EC(旅行やチケット販売など、目に見えないサービス)
・デジタル系 EC(電子出版や有料動画配信などのサービス)
販売
範囲
・国内 EC(国内で取引を行うこと)
・越境 EC(国境を越えて取引を行うこと)

EC サイトは、人件費や光熱費などコストを抑えて 24 時間どこでも商品を販売できる点は魅力です。しかし、EC サイト構築が失敗したり、運用がうまく行かなかったりすることで苦労をしている企業は少なくありません。次は、ECサイトのプラットフォームについての基本知識を紹介していきます。

5 種類のECサイトプラットフォームの特徴・費用相場

ECサイトのプラットフォームを大きく分けると 5 種類があります。

費用を抑えるために適切なプラットフォームを選定することは不可欠です。詳しい説明は省略しますが、それぞれ特徴や費用相場を以下の表でまとめました。ぜひ、把握してください!

種類 説明 特徴 費用相場
モール型 ショッピングモールのようなサイトに出店するタイプ
楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などが代表的なモール型ECサイトです
・メンテナンスなどのサポートが受けやすい
・事業規模がまだ小さく集客見込みに自信がないEC運営の初心者の方でも始めやすい
0万円~
初期費用:無料~数万円
月額費用:数千円~数万円
※別途販売手数料がかかる
ASP・クラウド型 ASPとはApplication Service Providerの略で、アプリケーションのソフトをネットワーク上で利用できるように提供してくれるサービスや、その事業者のこと
Shopify」や「ショップサーブ」などが代表的なASPシステムです
・費用はある程度抑えつつ、オリジナル(独自)のECサイトが作成できる
・デザインカスタマイズに一部制約あり
・外部に依頼せず自社で運営は可能
10万円~100万円
初期費用:無料ASPなら初期費用ゼロ、有料では1万円程度
月額費用:数千円~数万円
※別途販売手数料がかかる
オープンソース型 プログラムソースが無料で公開されているという意味で、誰でも無料でECサイトを構築・改編することができるシステム
EC-CUBE」や「Magento」は代表的なオープンソース
・自由にカスタマイズができる反面専門的な知識が必要
・無料で公開しているため、不具合が発生してしまった場合も提供側からのサポートが受けられない場合がある
100万円~500万円
初期費用:100~500万円
※自社で構築する場合は無料
月額費用:数万~数十万円
※サーバー維持費、システムのサブスクリプション費、セキュリティ管理費など
パッケージ型 開発会社がECサイトの構築システムをパッケージ化して販売しているもの
主要なパッケージには「SI Web Shopping」や「ecbeing」などがある
・オープンソースよりも利用する敷居は低く、快適に構築ができる
・カスタマイズ性を求めるECサイトに搭載したい機能が多い
・中~大規模のECサイト構築に向いている
500万円以上
初期費用:500万円~
月額費用:10万円~
※メンテナンスや保守費用など各種費用を月あたりに換算した金額
フルスクラッチ型 既存にあるシステムやアプリケーションなどを一切使用せず、ゼロからすべてオリジナルのシステムを構築すること ・最もカスタマイズ性が高く、かつ最も費用がかかる
・技術的な制限がなく、さまざまな要件に対応できる
・サイト制作に時間がかかる
数千万円以上
初期費用:数千万円~
月額費用:数十万円

ECサイト構築のよくある失敗例

ご存じかと思いますが、ECサイトの構築・運営は決して容易ではありません。
実店舗と違って、EC サイトは販売スタッフの人件費やテナント料などの経費が発生しませんので利益率が高いと言えますが、サーバ維持費やシステム保守費が必要となり、EC サイト自体や商品をユーザーに認知してもらわないといけません。

世の中には失敗例が散見されます。EC サイト構築に失敗したというのは一体何を意味しますか?端的に言えば「収益<投入コスト」だと思います。要するに、投資した費用よりも得られる効果が少ない、もしくは得られない状態です。

ferret の『EC サイト構築の失敗例9選!』によると、ECサイトを構築・運営する上で失敗しやすいポイントは、「機能面の不足」「UIの使いにくさ」「コストに関する問題」の大きく3つに分けられます。

「機能面の不足」や「UIの使いにくさ」はユーザーの購入行動に影響し、ECサイトの売り上げにつながりますよね。上記の記事がサイトでの行動を中心に語っているものだと思います。ユーザーの心理活動なども考慮しないといけません。マクスウェル・サックハイム氏が提唱した「マクスウェル・サックハイムの三原則」の「集客で乗り越えなければならない3つの壁」を参考にして考えてみましょう!

集客で乗り越えなければならない3つの壁とは
・読まない(Not Read)見込み客があなたのメッセージを読まない壁
・信じない(Not Believe)見込み客があなたのメッセージを信じない壁
・行動しない(Not Act)見込み客があなたのメッセージを見ても行動しない壁

ユーザーが EC サイトを訪れたということは、きっとあなたのサービスに興味を持っていると言えます。「EC サイトがわかりにくい」「欲しい商品が見つからない」ということになると、もったいないでしょう。では、どのようにこの3つの壁を乗り越えますか?

使いやすい!売れるECサイトを構築する 8 つのポイント

コーポレートサイトや採用サイトと同じく、EC サイトの本質はユーザーとコミュニケーションする手段です。3つの壁を突破するため、分かりやすい情報設計やデザインなどは求められた共通な要素となります。

しかし、直接的に購入行動できることはECサイトの一番大きな違いなので、「セキュリティ対策」や「購入のしやすさ」は特に重要な部分です。最後は、使いやすい!売れるECサイトを構築する 8 つの重要なポイントを解き明かしていきます。

➊ ご予算や要件を踏まえてプラットフォームを選定する

前述したように、サービス・商材の特徴や規模によって、適切なECプラットフォームは異なります。費用などの必要な要件を踏まえた上で、慎重に選定することが必要です。

具体的な選び方を省略いたしますが、1点注意すべきことがあります。
プラットフォームによってフロント・管理画面が違います。必要最低限の機能を知るため、プラットフォームのデモ画面を必ず確認してください

➋ ユーザーに必要な商品情報や自社の魅力が伝わるコンテンツを掲載する

アメリカの経営学者マイケル・ポーター(M.E.ポーター)によって提唱された3つの競争戦略があります。

・コストリーダーシップ戦略
他社の競合製品よりも安くすることで勝負する戦略
・差別化戦略
他社との明らかな特異性を作り出すことで、競争優位を築く戦略
・集中戦略
特定の製品やサービス、市場に集中することで、オリジナルの地位を確立する戦略

ferret が発表した『ユーザーは食品 ECサイトのどのようなことに不満を感じているかという調査』によると、ユーザーは商品情報に対する不満が多いことがわかりました。

戦略の内容とデザインの話はここで割愛しますが、他社との明らかな自社の特徴をユーザーに伝えるために、必要な商品情報やオリジナルコンテンツが不可欠です。

例えば、生活雑貨、家具、インテリアを販売する場合は、ブランドやサイズ、選択できるカラーを記載したほうがいいかもしれません。食品の通販サイトでしたら、食材の産地やアレルギー品目がありましたら、安心感が伝わります。ユーザーが知りたい必要な商品情報を検討した上で、自社の魅力が伝わる独自のコンテンツを作ってください!

➌ サービス・商材およびサイト目的に合わせた情報設計を行う

コンテンツを作り始める前に、サイト構成やページ構成を考える情報設計が最も重要です。「情報設計」と「コンテンツ作成」の違いは何ですか?

・情報設計は、どうやって伝えるか整理すること(How to say
・コンテンツ作成は、何を言うこと(What to say

日常生活では、伝え方によって受ける印象が全然違うと感じたり、相手の知識に合わせて伝え方を変えたりすることはありますか?イメージしにくいかもしれないので、ここでは具体的な例を挙げます。インターネットで野菜を販売するA社とB社があります。取り扱う商品やターゲットユーザーに合わせて、商品の見せ方や情報の優先順位を変えます。

A社 B社
商品の特徴 ・農家さんの直送野菜
・野菜だけではなく、果物や加工物が多い
・化学合成肥料や合成農薬を使用せず有機野菜
ターゲットユーザー ・安さを求める家庭主婦(toC)
・訳あり野菜を探してる飲食店(toB)
・健康志向の高い人
必要なコンテンツ ・商品のカテゴリ分け
・お店/店舗向けの情報
・有機JAS認証
・運営会社のコンセプト
・生産者のストーリー

それに合わせて、作成したトップページの構成(情報設計)は以下となります。
※これは特定の会社を想定していないため(実際にお客様に提出したワイヤーフレームではありません)、内容もあまり具体的になっていません。あくまで参考程度にご覧いただければと思います。

いかがでしょうか?イメージができましたね。同じ業界でも、会社のビジネスモデルやターゲットユーザーによって、伝える内容が違うこと(情報をどのように分類されるか、優先順位をどのように決めるか)をご理解いただければ嬉しいです。

➍ 快適な購入体験を提供する UI/UX 設計を考える

EC サイトは、ユーザーがいかに快適にショッピングを楽しめるのかが売上に影響する重要なポイントです。ferretが発表した『ECサイトの売上があがらない。ユーザーはどんな不満を持っている?』によると、カテゴリが多すぎてどこを見るべきか迷うことも 15% 占めています。

UI/UX 設計の重要性を説明しますので、オンラインで写真プリントというサービスを注文する場面を想像してみてください。

あなたはある印刷会社さんのサイトから注文しようと考えています。プリントの種類や写真用紙・サイズを決めましたので、ECサイトを開いて商品一覧の「カラープリント」を選択しました。しかし、カラープリントの商品ページに「白黒プリント」サービスを紹介した内容があります。「カラープリント」を選んだあなたにとっては、買い物に邪魔する余計な情報ですよね。

EC サイトを構築・改善する際に、買い物カゴ(ショッピングカート)は肝要な部分だと言われています。買い物カゴから購入までの比率が悪くない場合は、商品を買い物カゴを入れるまでの導線を見直したほうがいいでしょう。必要のない情報を捨てて「欲しい商品がすぐに見つかるEC」になっているか確認しておきましょう!

※ UI( User Interface )はユーザーに対して提供する操作手段・操作部分。Web サイトにおける UI は主に、ページ全体、ボタン、ナビゲーションなどの構成要素。ユーザーが Web サイトを利用する時に操作したり見たりするものです。

※ UX ( User Experience )はユーザーエクスペリエンスの略語。ユーザーエクスペリエンスはユーザーがサービスを利用した時、また継続的に発生する体験から生まれる感情です。

関連記事:ユーザーを迷わせない!Webサイトナビゲーションの10種類と特徴

➎ PC・スマホどちらでも見やすいデザインを意識する

ペイパル、モバイルコマースに関するグローバル調査( 2019年度版を発表)』によると、日本人の73%がモバイル端末でECを利用することを示しています。

画像出所:ペイパル、モバイルコマースに関するグローバル調査( 2019年度版を発表)

また、総務省が実施した『令和3年通信利用動向調査』では、個人の消費者のスマホ保有率は 74.3%という結果が明らかになりました。忙しい働き世代の消費者は、移動中などの隙間時間で買い物をしたいという人も多いでしょう。

PC・スマホ・タブレット端末など、デバイスごとにサイトの見え方を最適化させるレスポンシブデザインを行わないと、サイトのテキストやボタン、バナーが見えつらかったり、クリックしにくかったりして、「このサイトをもっと見たい」「買い物したい」という気持ちがそがれてしまい、離脱の要因になります。

➏ フルフィルメントの流れに応じたシステムを構築する

フルフィルメント(fulfillment)とは、ECサイトなどにおける受注から顧客対応までの一連の業務(受注、決済、ピッキング、配送・返品、コールセンター)を指す言葉です。

フルフィルメントの質が、EC サイトの顧客満足度や企業のブランディングにも大きな影響を与えます。クレジットカードやコンビニ払いなどの決済方法、注文から出荷までの日数や対応可能な配達業者などのフルフィルメントを確認した上でシステム構築していきましょう。

➐ セキュリティ対策を取り組む

ECサイトの悪用を起因とするクレジットカード不正利用の急激な増加のニュースを、きっと聞いたことがあると思います。経済産業省の『クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会 報告書(案)』は、ECサイトの脆弱性対策と本人認証の仕組みの導入を義務化する方針を示しています。

「クレジットカードが不正利用される」といった被害から、顧客に不利益を与えます。企業の社会的な信頼が低下し、顧客に使ってもらえなくなる可能性も高いでしょう。ECサイトの構築・運営の際は、自社のECサイトを不正アクセスから守るための基本的なセキュリティ対策やECサイト自体の脆弱性対策を必ず行ってください。

関連記事:【Webスキミング】カードが不正利用された時のお話【実録】

➑ 継続的に成果を出せる集客と運営体制を整える

実店舗をオープンしても、運営していく従業員がいなければ売り上げを上げるのは難しいですね。開業してすぐに売上が上がらないからと諦める中小企業や個人事業主は山ほどいます。EC 市場へ参入する場合は、どうしても EC サイトの構築に集中しがちです。しかし、運営体制を整えることも欠かせません。

「EC サイトを構築する段階から運営体制を考える必要がある?」と疑う気持ちを持つ方がいるかもしれません。取捨選択を行ったシンプルなサイトは、間違いなく運用の工数に繋がります。
また、いくら購入率や客単価が高くても、ECサイトを訪れるユーザーが少ない場合は、大幅な売上アップは見込めないですよね。WEB 広告を活用するのも一つの方法ですが、長期的な視点からサイトを構築する最初の段階に「無料で集客ができるSEO対策」を検討することをお勧めします。

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まとめ

以上、EC の種類や EC サイトを構築する注意点を解説しました。
実際にEC サイトを構築する際に、特定商取引法に基づく表記があるかどうか、価格表示は正しいかなど具体的な内容を掲載しないといけません。

博報堂DYグループの『EC生活者調査2023』によると、EC利用は幅広い年代に浸透し、生活者の1年以内のEC利用率は83.6%、月1回以上は64.4%となり、EC機能の利用意向については、即配やカスタマイズ機能・パーソナライズ機能への満足度が高いことがわかりました。

生活者起点でニーズの高いサービスが今後さらに重要になります。市場の一部の顧客や特定のニーズに対して商品やサービスを提供するニッチビジネスを展開する中小企業にとって、千載一遇のチャンスだと言えます。

弊社は物販系ECサイトの構築においても豊富な実績があります。詳しくは弊社の「制作実績 EC」ページまでご覧ください!

サイトの設計やWEB集客など、トータルにサポートを行っています。ECサイトの構築・リニューアルを検討している中小企業は、ぜひお気軽にご相談ください。

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