広告主にとって、広告配信の根本的な目的は収益を上げることですよね。特にインターネット広告の場合は、限られた予算をどれだけ効果的に活用できるかが成功の鍵となります。
本記事では、コンバージョン数が約4倍に増加したGoogleリスティング広告の改善事例を紹介します。施策の背景とその理由を具体的に解説します。広告効果を最大化するための実践的なヒントをお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
背景と課題
広告主の商材は医療に関するサービスです。コンバージョンを「購入完了」と「お問い合わせ獲得」を設定しています。「お問い合わせ獲得」より「購入完了」が重視されています。
目標KPIとして、CPA(目標コンバージョン単価)を7,000円未満に抑えることを目指しています。しかし、競合他社が多く、入札オークションが熾烈化しているため、コンバージョン単価が高騰しており、広告の費用対効果を改善する必要がある状況です。
KPI | 「CPA(目標コンバージョン単価)を¥7,000未満に抑制したい |
商材 | 医療関係 |
コンバージョン | 購入完了(主要)+お問い合わせの獲得 |
課題 | 入札オークションが熾烈化によるコンバージョン単価の高騰 |
改善結果と施策
まず、施策の結果について述べます。2023年10月のコンバージョン単価は約12,000円でしたが、3ヶ月後には約5,000円に低減し、さらに2024年10月には3,000円以下に改善することができました。
先述した通り、現状の課題は競合他社の増加によりクリック単価が上昇したことです。しかし、コンバージョン率は変化せず、さらに低下傾向にあり、その結果、コンバージョン単価が高騰しています。
こうした価格競争を避けるため、まずユーザーのニーズを分析しました。商品単価が比較的高い商材なので、ユーザー(見込み顧客)は価格やスピードよりも品質とサービスを重視するのではないかと考えました。その仮説をもとに、以下の4つの具体的な調整を行いました。
施策2:顧客インサイトの獲得に向けた広告文のPDCAサイクルの定期的な実施
施策3:機械学習を最大限に活用するため、GA4データを活用
施策4:リターゲティング強化のためのPMAXキャンペーン導入と最適化
施策1:目標コンバージョン単価に合わせたキーワードとマッチタイプの見直し
コンバージョン単価が10,000円前後だった時に、まず、広告費が10,000円を超えているが、コンバージョンが発生していない検索キーワードや、「安い」「値段」など価格を重視する検索キーワードをを除外キーワードとして追加しました。しかし、この判断基準は一度設定したら終わりではなく、コンバージョン単価が5,000円に改善された際には、5,000円を超えるキーワードとマッチタイプを再調整する必要があります。
段階1 | 段階2 | 段階3 | |
現状 | コンバージョン単価が10,000円前後 | コンバージョン単価が7,000円前後 | コンバージョン単価が5,000円前後 |
目標 | 10,000円以下に改善 | 7,000円以下に改善 | 5,000円以下に改善 |
施策 |
・広告費が10,000円を超えているが、コンバージョンが発生していない検索キーワードを停止する ・「安い」「値段」など価格を重視する検索キーワードを除外する |
・広告費が7,000円を超えているが、コンバージョンが発生していない検索キーワードを停止する
・コンバージョン単価が7,000円から10,000円の検索キーワードを見直す |
・コンバージョン単価が5,000円を超えている検索キーワードを停止する
・広告の予算に合わせてキーワードのマッチタイプと数を見直す |
関連記事:Google広告の除外キーワードのマッチタイプと選定方法
施策2:顧客インサイトの獲得に向けた広告文のPDCAサイクルの定期的な実施
キーワードの調整だけでなく、広告文も非常に重要な部分です。
キーワードの調整に合わせて、広告文の訴求内容も変更しました。価格訴求よりも、高品質や広告主のサービスを強調するようにしました。また、広告文の新鮮さを保つためには、基本的に少なくとも月に一度、各キーワードや広告見出しのパフォーマンスに基づいて広告文を更新することが望ましいと思います。当社の場合は通常、月初にレポートを作成し分析する際に、新しい広告文を更新し、PDCAサイクルを回していきます。
施策3:機械学習を最大限に活用するため、GA4データを活用
GA4(Google Analytics 4)データを基に機械学習を活用することで、広告キャンペーンの最適化を自動化できます。
GA4データの活用には主に2つのポイントがあります。一つは「オーディエンスの作成」、もう一つは「GA4のキーイベントをインプットする」ことです。このように、Google広告は活用できるデータが増え、それによってより正確な方向に機械学習を進め、広告のパフォーマンス向上が期待できます。
関連記事:GoogleアナリティクスとGoogle広告を連携する活用機能とメリット
施策4:リターゲティング強化のためのP-MAXキャンペーン導入と最適化
広告主の商材は特性上やや高い単価となるため、ユーザーがランディングページに遷移しても、すぐに購入に至るケースは少ないと考え、GA4(Google Analytics 4)の「アトリビューションパス」機能(コンバージョンに至るまでの流入経路と、かかる日数を確認できる機能)を使って調べてみました。
「アトリビューションパス」のページで確認したところ、初回流入から購入まで、通常は5日以上、最長で30日ほどかかることがわかりました。このため、コンバージョン率を向上させるとともに、P-MAXキャンペーンの有効性を高め、P-MAXキャンペーンを活用してリマーケティングを行いました。その結果、P-MAXキャンペーンのコンバージョン単価は約2,200円に改善することができました。
画像引用元:Performance Max campaigns launch to all advertisers
まとめ
上記の4つの大きな調整に加えて、広告アセットや入札戦略の調整も行いました。
筆者がこの案件を担当したばかりの頃、コンバージョン単価はクライアントの目標に達していませんでした。広告に関する改善だけでなく、広告用のランディングページ(LP)の再制作も行いました。
3年前、筆者は主にスポット(短期)案件を担当していましたが、現在担当している案件は基本的に2年以上続いているものです。近年、多くの企業がインターネット広告を展開している状況の中で、適切に運用できなければ広告のパフォーマンスが低下するリスクが高いと言えます。
他社からの乗り換え案件であれば、広告アカウントの改善点はすぐに判断できると思います。しかし、新規案件の改善よりも、むしろ自分が運用している案件が昨年よりも効果が下がった場合、それは運用者としての慢心ではないかと自省することがよくあります。
最も難しいのは、過去の自分を超えることだと思います。
当社はGoogle広告・Yahoo!広告の正規代理店です。GoogleやMetaの公式認定資格を持つ担当者が直接対応します。インターネット広告を始めたいが、何から手を付ければいいかわからない、費用対効果を改善したい、代理店の乗り換えを検討している方、ぜひお気軽にお問い合わせください。