近年、Web広告広告業界においてAIが注目されています。例えば、Google広告では、AI(機械学習)の精度を高めるため、自動入札とインテントマッチ(旧:部分一致)の組み合わせが強く推奨されています。「インテント(意図)」とは、検索するユーザーが「こうしたい/こうしよう」と考えていることを指します。

インテントマッチを利用することで、幅広いキーワードを登録しなくても、より多くのユーザーに広告を表示できるというメリットがあります。しかし、インテントマッチの使用には、意図しない広告表示を防ぐために「除外キーワード」を設定することが必要です。

本記事では、Google広告の「除外キーワード」の仕組みやその使い方について詳しく解説します。

除外キーワードとは

除外キーワードとは、広告を配信したくない検索クエリに対して広告を表示しないようにする機能です。除外キーワードを設定することで、関心のあるユーザーに広告が表示され、無駄なクリックを防止でき、広告の費用対効果を向上させることができます。

例えば、黒にんにくを販売している会社の広告は以下のように設定しています。
※検索クエリ(Query):ユーザーが検索エンジンに入力する言葉やフレーズのことを指します。

入札キーワード 黒にんにく
検索クエリ* 黒にんにく 通販
黒にんにく 国産
黒にんにく 無添加
黒にんにく 効果
黒にんにく 楽天
黒にんにく 訳アリ
除外キーワード 効果
楽天
訳アリ

 

除外キーワードのマッチタイプ

「除外キーワード」機能を正しく使用する前に、除外キーワードの「マッチタイプ」を理解しないといけません。よく誤解されやすい部分は、キーワードのマッチタイプの仕様とは異なることです。
特に、除外キーワードの「部分一致」は類似拡張がされないため、除外キーワードを設定する際には、必ず「マッチタイプ」に注意してください。

検索キャンペーンでは、部分一致、完全一致、フレーズ一致の除外キーワードを使用できますが、除外キーワードのマッチタイプの機能は、通常のキーワードのマッチタイプとは異なります。主な違いは、類義語、単語の単数形や複数形、表記のゆれや誤字などの関連パターンも除外の対象に追加する必要があることです。

引用元:Google広告ヘルプ|除外キーワードについて

例えば、除外キーワードのマッチタイプでは、部分一致の「ランニング シューズ」を除外キーワード設定していた場合に「ランニングの靴」のような類義語が除外の対象となることはありません。下記の表にまとめましたのでご確認ください。

検索語句 部分一致の
ランニング シューズ
フレーズ一致の
“ランニング シューズ”
完全一致の
[ランニング シューズ]
ランニング シューズ ✖ 表示されない ✖ 表示されない ✖ 表示されない
シューズ ランニング ✖ 表示されない ◎ 表示される ◎ 表示される
青 ランニング シューズ ✖ 表示されない ✖ 表示されない ◎ 表示される
ランニングの靴 ◎ 表示される ◎ 表示される ◎ 表示される
青 テニス シューズ ◎ 表示される ◎ 表示される ◎ 表示される

※Googleヘルプを基に作成しました。

除外キーワードの選定方法

除外キーワードの仕組みとマッチタイプを紹介しました。除外すべきキーワードを選ぶ基準には絶対の正解がありません。基本的には以下2つの基準で判断します。

・サービスや商材と関連性が低い検索クエリ
・無駄のクリックが多いコンバージョがない検索クエリ

上記の「黒にんにく」の例を見てみましょう。
「黒にんにく 効果」で検索する人は、黒にんにくを購入する段階ではなく、情報を知りたいという意図で検索しています。将来的に自社の商品を購入する可能性はありますので、除外せずに様子を見ることにしました。しかし、2ヶ月後に、CPAのコストが約2倍になりましたが、購入コンバージョンが得られなかったため、その時点で除外することにしました。
また、「黒にんにく 楽天」や「黒にんにく 訳アリ」を検索する人は、すでに目的と購入場所が決まっているため、それ以外の場所で商品を購入する可能性が低いです。これらのキーワードを除外してもいいでしょう。

除外キーワードの設定方法

Google広告の管理画面で除外キーワードを設定したい場合は、以下4つの方法をよく使用しています。それぞれの使うタイミングと目的は少し異なります。具体的な事例を見ながら操作手順を説明します。

・「アカウント単位」で除外キーワードを設定する
・「除外キーワード リスト」を利用する
・「検索語句レポート」から除外キーワードを確認する
・「検索キーワード レポート」から除外キーワードを設定する

「アカウント単位」で除外キーワードを設定する

アカウント単位の除外キーワードを設定すると、すべてのキャンペーンに自動的に適用されます。1つのアカウントにつき除外できる除外キーワードは最大 1,000 個まで、ご注意ください。

例えば、地域密着の中小企業の会社はほとんど会社名が知られていないので、基本的には社名の指名検索だとほとんど一番上に表示されます。社名で検索する人はサービスを利用する新規顧客ではない可能性が高いので、アカウント単位で会社名を除外してもいいと思います。

注意:P-MAXキャンペーンでキーワードの除外を行うには、「アカウント単位の除外キーワード」しか設定できないです。


【操作手順】
STEP1:Google広告アカウントで「管理者」アイコンをクリックします。
STEP2:「アカウント設定」をクリックし、「除外キーワード」を展開します。
STEP3:プラスボタン「+」をクリックし、除外キーワードを1行に1つずつ単語またはフレーズで入力します。
STEP4:「保存」ボタンをクリックして、除外キーワードの追加が完了します。
参考:Googleヘルプ|アカウント単位の除外キーワードについて

「除外キーワード リスト」を利用する

「除外キーワード リスト」を使用すると、複数のキャンペーンの除外キーワードを編集したり、削除したりすることができます。

例えば、大手企業のBtoB商材の広告を配信する場合、会社名の検索結果で1位を確保するために、指名キーワードを設定することが多いです。しかし、「○○会社 採用」「○○会社 年収」「○○会社 代表」など、無関係な検索クエリが多く発生する可能性があります。広告配信前に、このサービスの利用目的に該当しない「除外キーワードリスト」をあらかじめ追加しておくことをお勧めします。

注意:1つの「除外キーワード リスト」には、最大 5,000 個の除外キーワードを登録することができます。アカウント単位で作成できる「除外キーワード リスト」の数は、最大20個です。


【操作手順】
STEP1:Google広告の管理画面で、「ツール」アイコンをクリックします。
STEP2:「除外リスト」>「+」をクリックします。
STEP3:除外リストの名前を入力し、除外キーワードを追加します。
STEP4:「保存」ボタンをクリックして、「除外キーワード リスト」の作成が完了します。
STEP5:除外リストの横にあるチェックボックスをオンにし、「キャンペーンに適用」をクリックします。
STEP6:適用するキャンペーン、または広告グループの横にあるチェックボックスをオンにし、「適用」をクリックすると完了です。

参考:Googleヘルプ|除外キーワード リストを作成してキャンペーンに適用する

「検索語句レポート」から除外キーワードを確認する

検索語句レポートには、実際に多くのユーザーが検索し、広告の表示につながった検索語句が表示されます。
このレポートを確認することで、広告の表示やクリックにつながっているものの、販売している商品やサービスとの関連性が低いキーワードを見つけることができます。
特にキャンペーンや広告グループ単位で検索語句の傾向を分析する際は、「検索語句レポート」から除外キーワードを確認する方法が便利です。

【操作手順】
STEP1:Google広告の管理画面で、「キャンペーン」アイコンをクリックします。
STEP2:「分析情報とレポート」をクリックし、「検索語句」をクリックします。
STEP3:除外キーワードとして追加する検索語句のチェックボックスをオンにし、「除外キーワードとして追加」をクリックします。
そして、除外キーワードを広告グループやキャンペーン、既存の除外キーワード リスト、新しい除外キーワード リストにも追加できます。
参考:Google広告ヘルプ|検索語句レポートを使って除外キーワードの候補を取得する

「検索キーワード レポート」から除外キーワードを設定する

検索キーワードレポートでは、設定しているキーワードのパフォーマンスを確認できます。
キーワード単位のレポートから、効果のない検索語句を除外したり、コンバージョンにつながった検索語句を追加したりする際によく使用される設定方法です。特に、追加したキーワードの効果を検証する際に役立ちます。

【操作手順】
STEP1:Google広告の管理画面で、「キャンペーン」アイコンをクリックします。
STEP2:「検索キーワード」をクリックし、確認したい「検索キーワード」のチェックボックスをオンにし、「検索語句」 をクリックします。
STEP3:除外キーワードとして追加する検索語句のチェックボックスをオンにし、「除外キーワードとして追加」をクリックします。

除外キーワードを使用する上で知っておくべきこと

除外キーワードを使用する際の注意点を説明します。

注意点1:除外キーワードを追加・変更する場合は適切な記号を使用する

検索語句 レポートやキーワード レポートから検索キャンペーンに追加される除外キーワードは、デフォルトで完全一致に設定されます。除外キーワードのマッチタイプを追加・変更する場合は適切な記号を使用してください。

除外キーワード 部分一致の除外キーワード
“除外キーワード” フレーズ一致の除外キーワード
[除外キーワード] 完全一致の除外キーワード

 

注意点2:除外キーワードを慎重に選んでてください

適切に設定しないと、購買意欲のあるユーザーの検索語句を除外してしまい、コンバージョンの機会を逃すリスクがあります。また、インフォメーショナルクエリ(情報収集目的の検索)は、直接の購入には繋がりにくいものの、ブランド認知や将来の購入に貢献します。除外キーワードは慎重に選定しましょう。

注意点3:除外しているはずなのに広告が表示された原因

除外キーワードを使用しても、必ずしも100%有効ではありません。「除外しているはずなのに広告が表示された!」という状況が発生する場合がありますが、以下の2つ原因が考えられます。

➊除外キーワードに類似する関連語句やシステムに認識されない記号を含む場合、広告が表示される可能性があります。

除外キーワードでは、アンパサンド(&)、アクセント記号(á)、アスタリスク(*)、アポストロフィ(’)の 4 つの記号を使用できます。アクセント記号を含む除外キーワードは、それぞれ異なる除外キーワードと見なされます(「sidewalk cafe」と「sidewalk café」など)。同様に、「靴下 & 靴」は「靴下と靴」とは異なります。

引用元:Google広告ヘルプ|除外キーワードについて

 

➋17番目以降の語に除外キーワードと同じ語句を使用した場合、広告が表示される可能性があります。

Google 17語以上からなるフレーズを検索しているユーザーが、17番目以降の語に除外キーワードと同じ語句を使用した場合も、広告が表示される可能性があります。
例えば、「割引」を除外キーワードに設定したとすると、ユーザーが「LA ロサンゼルス CA ホテル 宿 ベッド 朝食 レンタル 上品 快適 清潔 部屋 ビーチ 近い 徒歩 リゾート 割引」で検索した場合、除外キーワードは 17 番目の単語であるため、広告が表示される可能性があります。一方、ユーザーが「LA ロサンゼルス ホテル 宿 ベッド 朝食 レンタル 上品 快適 清潔 部屋 ビーチ 近い 徒歩 リゾート 割引」で検索した場合、除外キーワードは 16 番目の単語であるため、広告は表示されません。

引用元:Google広告ヘルプ|除外キーワードについて

 

注意点4:Googleディスプレイ ネットワークにおける除外キーワードを設定する場合

Google検索広告における除外キーワードについて説明してきましたが、Googleディスプレイネットワーク(GDN)にも除外キーワードを設定できます。しかし、ディスプレイ キャンペーンや動画キャンペーンの除外キーワードの機能は、検索キャンペーンの場合とは異なります。除外したキーワードに関連するコンテンツページに広告が表示されなくなる可能性があります。Googleディスプレイネットワークにおける除外キーワードを設定する場合は、オプションとコンテンツの除外も一緒に設定したほうがいいです。

ディスプレイ ネットワークでは、除外キーワードの精度が検索ネットワークの場合ほど高くなく、除外キーワードに該当する語句を使用しているページでも広告が表示されることがあります。
ディスプレイ広告では、掲載対象の決定に最大 5,000 個の除外キーワードが反映されます。無関係なサイトや動画に広告が掲載されないようにするには、サイトカテゴリ オプションとコンテンツの除外を使用することをおすすめします。

引用元:Google広告ヘルプ|除外キーワードについて

 

その他:除外キーワードの運用頻度

「除外キーワードの設定はどのくらいの頻度で行った方が良いのでしょうか?」と疑問を持っている方もいるかもしれません。これはアカウントの予算や商材、キーワードの設定(量やマッチタイプ)に関連していますが、ここでは筆者が実際にどのくらいの頻度で設定しているかを紹介します。

例えば、月予算が20万円以下の場合、配信を開始した最初の1か月は、筆者は一般的に週に2回ほど検索クエリレポートを確認します。toC商材の場合、平日と休日の違いを把握する目的があり、月曜日と金曜日に行うことが多いです。 広告アカウントのパフォーマンスが徐々に安定してくる2か月目から3か月目は、週に1回検索クエリレポートをチェックしてもいいかもしれません。通常週末には配信を停止するtoB商材の場合は、平日の検索クエリの特徴を分析するために、金曜日に確認して除外キーワードを設定します。

3か月が経過すると、アカウントにほとんど無関係な検索クエリは入ってこなくなります。この時点では、月に1〜2回のチェックで十分です。広告アカウントが十分に安定していれば、広告費用を増やし、潜在層に広げてビックワードを追加して、より多くのコンバージョンを獲得することを考えてもいいと思います。

具体的な状況に応じて対策を取る必要がありますが、ここで強調したいことは、最初の3か月は丁寧にチェックすることが重要だという点です。

まとめ

除外キーワードを使用することで、広告の無駄なクリックを減らし、広告の費用対効果を向上させることができます。また、検索クエリレポートを確認することで、顧客理解を深めて、新しい訴求の広告文を作成するためのヒントを得ることが多くなります。

除外キーワードのマッチタイプおよび広告アカウントの構造との関係を考慮しながら、除外キーワード機能をご活用ください。例えば、広告配信前に予測できる他社名や無関係なキーワードを【除外リスト】に追加することで、コストを削減することができます。また、最初の1~2か月にキャンペーンや広告グループの傾向を分析する際には、【検索語句レポート】を使用すると便利です。特定のキーワードやフレーズ一致で設定したキーワードと、完全一致で設定したキーワードのパフォーマンスや違いを具体的に分析したい場合は、【検索キーワードレポート】を参照するのが良いでしょう。

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