Google広告のスマート自動入札は、AIを活用して広告運用を最適化し、効率的にコンバージョンを増やすための強力な機能です。広告費用を最大限に活用しながら、ビジネス目標に応じて入札戦略を自動的に調整することが可能です。

本記事では、スマート自動入札の仕組みから設定方法までを解説します。Google広告運用のパフォーマンス向上を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

スマート自動入札とは?自動入札との違い

スマート自動入札を正しく設定するためには、その仕組みや種類を理解することが必要です。まずは、スマート自動入札の仕組みや基礎知識について説明します。

広告を運用する際、よく「スマート自動入札」と「自動入札」を一緒に言いますが、実は両者には少し違いがあります。
自動入札は、個別クリック単価制とは異なり、特定のビジネス目標を達成するために、クリックやコンバージョンにつながる可能性に基づいて広告の入札単価が自動的に設定される入札戦略です。合計6種類あります。

一方、スマート自動入札はコンバージョン数やコンバージョン値を重視して最適化を行う、コンバージョン数の最大化、目標コンバージョン単価、コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果の4種類の自動入札戦略のことを指します。つまり、スマート自動入札は自動入札の一種です。
社内でも社外でも、正確な言葉を使うことで、双方の認識の誤解を減らすことができるので、注意しましょう!

スマート自動入札のメリットとデメリットを説明します。

スマート自動入札のメリット

手動入札に費やす時間を削減できる

手動入札では、広告運用側が各広告グループやキーワードごとに、定期的に入札価格を確認・調整する必要があります。スマート自動入札を使用すると、広告の目標に応じてシステムが入札価格を自動的に調整してくれます。運用者は入札調整に費やす時間を大幅に削減できるでしょう。

オークションごとの入札が自動で調整してくれる

Googleのスマート自動入札は、各検索オークションでの入札を自動的に最適化します。
オークションごとの入札調整とは、ユーザーの状況(検索クエリ、端末、位置情報、時間帯、過去の行動履歴など)をリアルタイムで評価し、広告が表示されるたびに最適な入札額をシステムが自動で決定することです。これにより、効率的に予算を活用し、成果の最大化が期待できます。

常に学習するアルゴリズムでビジネス目標の達成を目指す

スマート自動入札では、入札アルゴリズムを継続的に更新し、掲載結果の変化に合わせて調整します。また、ビジネス目標(売上・コンバージョンの増加、CPAの削減など)を効果的に達成するため、入札が自動的に最適化されます。この自動学習プロセスにより、時間の経過とともにパフォーマンスが向上する可能性があります。

スマート自動入札のデメリット

一定のデータ量を蓄積するための学習期間が必要

スマート自動入札は、広告アカウント内のデータに基づいて最適な入札戦略を構築します。
しかし、効果的な自動化のためには十分なデータが必要です。
例えば、目標コンバージョン単価による自動入札では、1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。

学習期間中のパフォーマンスが不安定

スマート自動入札を導入している学習期間中、広告のパフォーマンスが不安定になることがよくあります。これは、AIがまだ最適な入札パターンを見つけていないためです。(一般的に1〜2週間の学習期間が必要
この過程で、思わない高い入札単価が設定されることや、逆に入札が低すぎて広告の露出が減ることがあり、全体のパフォーマンスが一時的に悪化するリスクがあります。

目標達成できないと配信量が激減する可能性がある

スマート自動入札は、設定した目標(例:目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果)を達成するために入札を最適化しますが、目標が高すぎたり、現実的でない場合、配信量を大幅に減らしてしまうことがあります。
思うように配信されず、露出やクリック数が大幅に減少する場合、目標設定や入札戦略を見直さなければなりません。

スマート自動入札を利用しないほうがいいケース

スマート自動入札は、時間を節約し、目標をより効率的に達成することができます。しかし、スマート自動入札は万能ではなく、広告アカウントの実際の状況や目的に応じて慎重に考慮する必要があります。
次のようなケースでは、スマート自動入札を使用しない方が良いと考えます。

・キーワードごとに手動入札で調整したい
・コンバージョンが少ない

 
具体的な事例をあげて説明します。同じブランドの自動車を販売しているA社とB社があります。A社はGoogle広告を出稿しています。必ずしもすべてのキーワードで競合のB社よりも高い入札をする必要はありません。
重要なのは、ブランド名や車種を検索した際に、A社の広告がB社よりも上位に表示されることです。スマート自動入札を使用すると、上位表示の機会を逃すことがあるかもしれません。こういった場合は、手動入札の方を使用したほうがいいでしょう。

スマート自動入札の種類

スマート自動入札は、コンバージョン数の最大化、目標コンバージョン単価、コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果の4種類があります。
それぞれの違いと特徴は以下の表までご参考にしてください。

ビジネスの目標 キャンペーンの目標 スマート自動入札戦略
売上や見込み顧客の増大 固定予算または固定広告費で、できるだけ多くのコンバージョンを獲得する コンバージョン数の最大化
目標コンバージョン単価
利益の向上 固定予算または固定広告費用対効果(ROAS)で、できるだけ多くのコンバージョンを獲得する コンバージョン値の最大化
目標広告費用対効果

 
参考:Google広告ヘルプ|スマート自動入札について
参考:Google広告ヘルプ|スマート自動入札ガイド

コンバージョン数の最大化

設定した広告予算でできるだけ多くのコンバージョンが得られるよう、入札単価を自動調整する入札戦略です。

【適しているケース】
・予算の消化を優先したい。
・投資収益率の目標値が具体的に決まっていない。
・最適化対象のコンバージョンはどれも同程度の価値をビジネスにもたらす。

参考:Google広告ヘルプ|「コンバージョン数の最大化」による入札について

目標コンバージョン単価(CPA)

「目標コンバージョン単価」を設定すると、設定した予算内で、その目標値を達成できる範囲でコンバージョンを最大限に獲得できるように、入札単価を自動的に調整する入札戦略です。

【適しているケース】
・投資収益率の目標値が具体的に決まっている
・最適化対象のコンバージョンはどれもビジネスに同程度の価値をもたらす。

参考:Google広告ヘルプ|目標コンバージョン単価

コンバージョン値の最大化

「コンバージョン値の最大化」は、指定した予算の範囲内で、売上(コンバージョン値)を最大化していくように調整する入札戦略です。

【適しているケース】
・予算の消化を優先したい。
・コンバージョンによってビジネスにもたらされる価値がそれぞれ異なる。
・投資収益率の目標値が具体的に決まっていない。

参考:Google広告ヘルプ|コンバージョン値の最大化

目標広告費用対効果(ROAS)

「広告費用対効果」は、指定した目標広告費用対効果でコンバージョン値を最大化できるように、自動で入札単価が調整される入札戦略です。

「広告目標費用対効果」の設定例:

広告に 100 円かけるごとにその 3 倍の収益を得られるように、目標広告費用対効果を 300% に設定します。
売り上げ 300 円 ÷ 広告費用 100 円 × 100% = 目標広告費用対効果 300%
Google 広告では次に、目標広告費用対効果 300% の達成を目指しながら、コンバージョン値を最大化できるよう、上限クリック単価が自動的に設定されます。

 
【適しているケース】
・投資収益率の目標値が具体的に決まっている。
・最適化対象のコンバージョンはどれもビジネスに同程度の価値をもたらす。

スマート自動入札を設定する方法

スマート自動入札の設定方法は2つあります。1つのキャンペーンに適用する入札戦略を設定する方法と、複数のキャンペーンに適用するポートフォリオ入札戦略を作成する方法です。スマート自動入札を設定する手順について説明します。

方法1:キャンペーンの「入札戦略」を編集する

既存キャンペーンの「入札戦略」を編集する方法を紹介します。新しいキャンペーンを作成する際の「スマート自動入札」を設定する手順については割愛します。詳しくは、以下のヘルプページをご参照ください。

【操作手順】
1.Google 広告の管理画面で「キャンペーン」アイコンをクリックし、「キャンペーン」を選択します。
2.入札戦略を変更したい「キャンペーン」の左側のチェックボックスをクリックし、「編集」>「入札戦略を編集」の順にクリックします。
3.変更したい「入札戦略」を選択し、「適用」ボタンをクリックすると、入札戦略の変更が完了します。

参考:Google広告ヘルプ|スマート自動入札を設定する

方法2:ポートフォリオ入札戦略を作成する

ポートフォリオ入札戦略とは、Google広告において複数のキャンペーン、広告グループ、またはキーワードにまたがって入札単価を管理・最適化するための自動入札戦略です。
通常の入札戦略は1つのキャンペーンに適用されますが、ポートフォリオ入札戦略は複数のキャンペーンにまたがる形で設定できる、特定の目標を達成するために一貫した入札管理を行うことができます。

【操作手順】
1.Google 広告の管理画面で「ツール」アイコン をクリックし、「予算と入札単価」プルダウンをクリックします。
2.「入札戦略」をクリックし、プラスボタン「+」をクリックし、作成する入札戦略のタイプを選択します。
3.新しいポートフォリオ入札戦略の名前を入力し、含めるキャンペーンを選択します。
※ポートフォリオ入札戦略の作成後にキャンペーンを追加することもできます。
4.入札戦略の設定を入力し、「保存」をクリックします。

参考:Google広告ヘルプ|ポートフォリオ入札戦略とは
参考:Google広告ヘルプ|ポートフォリオ入札戦略を作成する

まとめ

以上、スマート自動入札の基本的な仕組みから、具体的な活用方法や注意点までを解説しました。
Google広告の成果を最大化するために、ビジネスの目的に応じて適切な入札戦略を選ぶことが非常に重要です。目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化といった4つのスマート自動入札戦略の選択基準について、以下にまとめています。

予算の消化を優先する 具体的な投資収益率の目的値が決めている コンバージョンによってビジネスにもたらす価値は同じ スマート自動入札
はい いいえ はい コンバージョン数の最大化
いいえ はい はい 目標コンバージョン単価
はい いいえ いいえ コンバージョン値の最大化
いいえ はい いいえ 目標広告費用対効果

 
キャンペーンの種類によって、スマート自動入札戦略の仕組みや使用時の注意点も変わるため、常にGoogle広告の公式ヘルプページを確認するようにしてください。

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