今回の記事は、住宅関連産業や工務店の現状と動向を踏まえて、ホームページ制作に必要なコンテンツとおしゃれなデザイン事例をご紹介していきます。

・ホームページ制作・リニューアルを検討している工務店の経営者とWEB担当の方
・注文住宅関連産業や顧客のニーズを把握したいWeb制作会社の方
ぜひご参考ください。

工務店とハウスメーカーの違いは?

工務店のホームページを通じて、会社を案内したり、モデルハウスを掲載したりすることで、効率的に集客することは可能です。しかし、顧客は価格の合理性を求める一方で、品質やサービスにも高い期待を持っています。競争が激しい住宅関連業界において、ハウスメーカーや他の工務店と差別化することができるでしょう。
工務店のホームページの制作を着手する前に、基礎知識としての「工務店とハウスメーカーの違い」を紹介します。

⦿ハウスメーカー
自社ブランドを持って、全国規模で営業展開している住宅会社のことです。対応エリアが広く、各地域に営業拠点があります。

⦿工務店
特定の地域に密着して、住宅を建築する会社です。新築工事だけでなく増改築にも対応し、施主の要望に柔軟に対応できる特長を持ちます。

ハウスメーカーと工務店の主な違いを表にまとめました。

工務店 ハウスメーカー
対応エリア 小規模経営で地域密着型 規模が大きく全国展開
工期の長さ 長い(約6カ月) 短い(約3〜4カ月)
価格 ※同等の家を建てる場合 安い 高い
設計の自由度 高い 低い
アフターサービス 会社による 長期保証など手厚い
住宅機能 基本性能を満たしたうえで独自性は会社によって異なる

注文住宅業界の現状(課題)と今後の動向(対策)

ホームページに必要なコンテンツの内容を決める前に、市場や競争環境を理解し、戦略的な意思決定を行うための業界分析が非常に必要です。
注文住宅業界の現状(課題)と今後の動向(対策)を以下の通りにまとめました。

▼注文住宅業界の現状(課題)
・人口減少にともない、新築住宅の市場規模は減少傾向
・住宅に使う資材や設備が調達しにくくなり、コロナウイルスが住宅業界に与えた影響は大きい
・アメリカや中国で木材の需要が増加していることから、資材不足や資材の高騰
・慢性的な人材不足(若者不足、職人の高齢化、後継者不足)

▼今後の動向(対策)
・事業の多角化:住宅業界の国内市場は縮小傾向にあるため、海外市場を視野に入れる
・IT技術の活用:ホームページやSNSを活用した集客とオンライン商談を導入・継続する
・快適・省エネで持続可能な住まい:高まる顧客の知識やZEHのトレンドに応じて提案する

 

参考資料:
一般社団法人住宅生産団体連合会(令和3年6月10日)『住宅市場の現状と課題解決に向けた要望
ハウスメーカー業界の現状と今後の動向とは?コロナやIT技術を踏まえたハウスメーカーのあり方を考えよう
【2024年】住宅業界の今後の動向予測!課題や将来の見通し・対策について

住宅需要の低下、そして人手不足の問題が深刻化する中で、IT技術を活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を構築することがますます重要になっています。これは日本国内だけでなく、グローバルおよび未来を見据えて、積極的に持続可能な発展に関連する政策を導入し、実施する必要があると思います。

顧客インサイト|調査から見つけた顧客のニーズとは?

ホームページは企業の課題を解決するための手段です。注意すべきは、売り込み内容ばかりにしないことです。ユーザーに理解・納得・共感を得てもらえるコンテンツを作成しないといけません。注文住宅を建てることを考えている人のニーズを見ていきましょう。

一般社団法人住宅生産団体連合会『2022年度戸建注文住宅の顧客実態調査結果の要約及び考察』を参考に、下記の内容をピックアップしました。

・従前住宅については、「賃貸住宅」の割合が最も高く 50.9%を占める
・30 歳代の割合が高い、「親と子世帯」が 52.4%を占める
・長期優良住宅は全体の 88.6%を占めている
・住宅消費税の圧迫感は、「かなり圧迫感があった」の増加傾向が続いている
・住宅性能表示制度を採用した割合は増加し 75.8%である
・住宅購入を検討する上で重視した点は、「間取り」が目立って高く 6 割以上を占める
・「ZEHにした」が 41.5%を占める。「ZEHにした」は増加傾向が続いている

 

住宅を購入する人の中で、子供がいる家庭がほぼ半数を占めています。また、「間取り」を重視する人も半数以上です。住宅の長期的な機能性もますます重要視されています。経済面や住宅ローンの金利タイプも、購入者が考慮した重要な部分です。購入者の不安やニーズに答えるために、工務店のウェブサイトにはどのような情報を提供すべきか、一緒に見ていきます。

工務店ホームページにおすすめのコンテンツ

ホームページの目的と重視するコンテンツは企業の状況によって異なります。
作成する前に、自社の強みやサイトの目的を明確にしないと、何を掲載すべきなのかわからないサイトとなってしまいます。また、複数のサービスを提供する場合、優先順位を付けて情報をうまく整理することも重要です。次は、工務店のホームページに必要なコンテンツを紹介します。

➊会社紹介

まず必要なのは会社紹介です。会社紹介ページには、一般的に会社の正式名称、設立年、理念などの内容が記載されています。会社紹介のページを通じて、顧客の不安を解消し、信頼感を高めることができます。

画像出所:木の家 IMURA|会社概要
画像出所:幸保工務店|会社概要

➋こだわり

二つ目の重要な内容は、会社の特長(こだわり)です。他社とは異なる点は何か?例えば、優れたデザイン力や、施工件数が地域でNO.1であることなど。特長のページを通じて、顧客はこの会社が自分に合ったサービスを提供できるかどうかをすぐに理解することができます。

画像出所:あめいろ工務店|あめいろの家
画像出所:マツシタホーム|私たちの家づくり

➌施工実績

施工実績も非常に大切です。潜在的な顧客が施工実績を閲覧すると、その工務店が設計から建築完了、そして後工程までの一連のプロセスをどのように行っているかを感じ取ることができます。また、自分のニーズ(こだわり)に合う施工実績を見つけた場合、直接会社に相談することもあります。

画像出所:マツシタホーム|施工事例
画像出所:あめいろ工務店|施工事例

➍モデルハウス・展示場

モデルハウスや展示会の部分も欠かせない要素です。住宅を購入するには何百万円以上がかかります。インターネットで写真を見るだけでは不十分です。実際の物件を現地で体感し、同時にスタッフに相談することは、家を建てる工務店を決める前の必須の段階と言えます。展示会の場所や開催時期、そして来場キャンペーンなどを明確にした情報を掲載してください。これにより、顧客が直接訪問する動機が促進されます。

画像出所:木の家 IMURA|公開中の展示場
画像出所:幸保工務店|モデルハウス

➎ブログ

最後に必要なコンテンツはブログです。ブログは潜在顧客を呼び込み、ウェブサイトのトラフィックを増やすことができます。また、ブログを通じて、ユーザーは一定程度スタッフの人柄や仕事への姿勢を把握します。スタッフの写真や資格を一緒に載せることで、親近感を高めるだけではなく、「この人に相談したい」のような指名相談の増加にもつながるかもしれません。

画像出所:マツシタホーム|ブログ
画像出所:クラシスホーム株式会社|家づくりマガジン

おしゃれな工務店ホームページのデザイン(事例紹介)

ここでは、参考にしたい工務店のホームページをご紹介していきます。

事例1:木の家 IMURA|吉野杉でつくる健康・快適な自然の家


画像出所:木の家 IMURA

◆ POINT ◆
奈良に創業し、約100年の歴史があるイムラは、奈良県の木を最も使う住宅会社です。

黄褐色、深緑色、ホワイトを基調としたウェブサイトは、全体的に「自然」と「洗練された」雰囲気を伝えます。展示会や施工例で使用されている画像は非常に豊富であり、理想的な家での生活が想像できるでしょう。

特に、「吉野杉・地産地消へのこだわり」のページは、奈良の吉野杉の特徴に焦点をあて紹介しています。家だけでなく、森や空の画像も適切に使用されており、ホームページを閲覧すると自然の中にいるような気分になり、吉野杉の清新な香りが漂ってくるようです。品質を強調したい工務店であれば、「木の家 IMURA」のホームページがとても参考になります。

事例2:幸保工務店|さいしょにしあわせがある


画像出所:幸保工務店 

◆ POINT ◆
幸保工務店は、建設会社が母体で自社大工もいる、地域密着型の熊本県の工務店です。

多くの人が自分の家を持ちたいと思うきっかけは、新しい家族のメンバーの誕生でしょうね!幸保工務店のウェブサイトで使用されている色の明るさはより鮮やかで、活発で温かい感じがします。特に、ファーストビューの家族が楽しそうに遊んでいる姿は、ホームページの訪問者に温かい幸せな家庭を築く感情を呼び起こしやすいです。

「施工実績」のページでは、細部についての説明があまりなく、全体のコンセプトが強調されています。使用されている画像はシンプルでわかりやすいです。この時、文字があることより、余白のほうが家族と一緒に家で暮らす日々が想像できるでしょう。

事例3:あめいろ工務店|いろいろ、ゆめいろ、あめいろの街。


画像出所:あめいろ工務店

◆ POINT ◆
あめいろ工務店は熊本県南エリアを中心に、オリジナル住宅と規格住宅の企画・施工・販売を手がける工務店です。

幸保工務店のホームページには、可愛らしい手描きのイラストがたくさん使われ、動きのあるレイアウトになっています。また、会社紹介や座談会の部分には、多くの社員の写真が使用されています。さらに、社員紹介のページも設けられています。

スタッフの「顔」が見られるため、ユーザーは安心感を抱くだけでなく、特別な親近感も感じられるでしょう。「人の魅力」を強調するホームページを作りたいなら、幸保工務店は良いお手本です。求職者にとっても非常に魅力的ですよね。

事例4:クラシスホーム株式会社|東海4県No.1ビルダー クラシスホーム


画像出所:クラシスホーム株式会社

◆ POINT ◆
地元工務店の自由度、設計事務所のデザイン力、そしてハウスメーカーと同等の安心感を兼ね備えた愛知の住宅会社です。

クラシスホーム株式会社のウェブサイトは、白色と深灰色を基調としています。全体には、モダンなスタイルの家の写真やデザインスケッチが掲載されており、会社のデザイン力と企画力が強調されるとともに、住宅の機能性も重視されていることがわかります。

他の建築会社とは異なり、クラシスホーム株式会社は特に五つの強み(デザイン性と自由度の高さ、エキスパートチーム、安心の高性能、コストパフォーマンス、アフターメンテナンス)を詳しく紹介しています。それぞれの強みに1つのページを設けました。また「家づくりマガジン」を通じて、見込み顧客は会社の専門性を感じることができるでしょう。「スタッフ紹介」のセクションでは、顧客が社員の方をよりよく知り、信頼関係を築くことができるようになっています。

唯一無二で快適に長く住める家を作りたいのであれば、思いやりのあるプロフェッショナルが必要だと思います。機能性の高い住宅を訴求するなら、クラシスホーム株式会社のホームページはとても参考になります。

事例5:マツシタホーム|この家、ゆっくり生きる。


画像出所:マツシタホーム

◆ POINT ◆
マツシタホームは熊本県芦北町にある小さな工務店です。

マツシタホームのホームページでは、水と掛け時計の2つの意象を使って生活・時間の流れを象徴しています。このウェブサイトを見ると、私はつい「人生にとって家の意味とは何か?」と自問しました。もちろん、人によって答えはそれぞれです。でも、家と住環境はある程度その人の人生観と価値感を反映するものです。

全体の白を基調としたデザインは、清潔でシンプルで透明感を感じています。ページを開いた瞬間、ファーストビューのスローモーションアニメーションを見て、ゆっくりと時間の流れを味わうことができます。

サイト構成は「会社紹介」「特徴」「事例紹介」「ラインアップ」「ブログ」の5つの部分だけです。説明が少なく、ユーザーに想像する余白を十分に与えています。家族の人数が少ない顧客に、高品質の住宅を訴求する場合、マツシタホームのウェブサイトデザインは参考になるでしょう。

まとめ

本記事では工務店に焦点を当てて、ホームページに掲載する基本的なコンテンツと、おすすめのデザイン事例を紹介しました。

ホームページの「かっこよさとおしゃれ」だけでは不十分です。ホームページはターゲットユーザーとコミュニケーションを取って、関係を構築する場だと思います。また、1社1社の強みや特徴は異なり、顧客のニーズに応じて強調する内容や表現の方法も異なります。弊社はお客様が抱えている課題に合わせて最適なホームページをご提案させていただきます。

ホームページを新規制作したい、既存ホームページが古くなったのでリニューアルしたいと考えている工務店の経営者やWEB担当の方もいらっしゃるかと思います。是非お問い合わせください!

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