話題の「ノーコードツール」を聞いたことがありますか?
ノーコードツールは、プログラミングの知識がないユーザーでも高度なWebサイトやWebアプリケーションなどのソフトウェアを作成できる画期的なツールです。

日本国内でも、多くの企業がノーコードツールを導入し、業務効率化や迅速なプロトタイピングに活用しています。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への動きの活発化とともに、ノーコードツールの需要が急増しました。

今回の記事は、ノーコードツールのメリットとデメリットなどの基礎知識を紹介した上で、プロのWeb制作会社に求められることを解説します。ノーコードツールで自分でホームページを作成するか、Web制作会社に依頼するか悩んでいる方、ぜひ一読ください!

ノーコードツールとは?ローコードツールとの違いとは?

Webサイトを作成する場合は、通常はJavaScriptやHTML/CSSなどのプログラミング言語を使用してコードを記述する必要があります。

ノーコードツールは、プログラミングの知識やスキルがなくても、直感的な操作でWebサイトやWebアプリケーションなどのソフトウェアを作成・開発できるツールです。
ドラッグ&ドロップインターフェースやテンプレートを利用して、複雑なコードを書くことなく、プロジェクトを構築することができます。

ノーコードと並んでよく聞く言葉にローコードがあります。次は2つの相違点を説明します。
ノーコード(no-code)とローコード(low-code)はWebサイトやWebアプリケーションを開発する手法です。両者の主な違いは、ソースコードを記述する量です。

ノーコードはソースコードを書かない開発手法、ローコードはソースコードの記述量を最小限に抑えて開発することを意味しています。具体的に言えば、以下のような違いがあります。

ノーコードツール ローコードツール
プログラミング専門知識 不要 必要
柔軟性(カスタマイズ) 低い 高い
対象の規模
代表例 Jimdo、Wix、STUDIO Kintone、Mendix

ノーコードツールのメリットとデメリット

中小企業や個人事業主にとっては、コストを抑えて迅速にプロジェクトを立ち上げる有効な手段と言えます。しかし、ノーコードツールには多くの利点と欠点があります。

ノーコードツールのメリット

1. 簡単な操作性

ドラッグ&ドロップの直感的なインターフェースを利用することで、プログラミングの知識がなくても簡単に要素を配置し、Webイトを作成することができます。特に、IT人材や予算不足の課題を抱える中小企業や地方自治体でも活用することも可能ですよね。

2.豊富なテンプレート

ノーコードツールは、豊富なテンプレートやカスタマイズオプションを提供しています。利用者は、自分のニーズに合わせてデザインや機能を調整し、独自性のあるWebサイトを作成することができます。

3. 開発時間の短縮とコストの削減

専門的なプログラミングスキルが不要なため、ノーコードツールを利用することでコストを大幅に削減できます。フリーランスや中小企業にとっては、開発費用やメンテナンスコストを抑えられます。

4. 容易なメンテナンス

ノーコードツールを使用すると、細かい修正や改善もドラッグ&ドロップなどで簡単におこなえます。Webサイトのメンテナンスが簡単になり、PDCAサイクルをスムーズに回すことで、サイトの質とパフォーマンスの向上につながるできるでしょう。

5.SEO対策が可能

検索エンジン最適化(SEO)は、Webサイトを成功させるために欠かせない要素です。
ノーコードツールは、検索エンジン最適化(SEO)に対応していることが多く、メタタグの設定やURLのカスタマイズ、サイトマップの生成などの機能を提供しています。
SEO対策を行うことで、Googleなどの検索エンジンで上位に表示されやすくなり、サイトへの多くの流入を獲得できるなどさまざまな利点があります。

ノーコードツールのデメリット

1. デザインの自由度が低い

ノーコードでWebサイトを作成する場合、プラットフォームが提供するテンプレートや機能に依存します。プラットフォームが対応していない機能やサービスの追加はできません。そのため、複雑な機能や独自のデザインを実装する場合、制約があることが多いです。
例えば、ノーコードWeb制作ツールの場合、オリジナルのアニメーションを追加することができないため、サイトのデザインにこだわる場合には思いどおりの仕上がりにならない可能性があります。

2. 大規模なサイトには向かない

高度なパフォーマンスや細かい要件が要求される場合、ノーコードツールでは対応しきれないことがあります。 ノーコードツールが提供されている機能を確認して、開発に適したツールかどうかを選定することに必ず注意してください。

また、無理にノーコードで開発を進めるよりも、ローコード開発に切り替えたほうがいいケースは少なくないです。自社のビジネスモデルやサイト制作の目的などを整理してから、ノーコードツールを選定したほうがいいと思います。

3. セキュリティの懸念

ノーコード開発が広まる中、データの安全性やセキュリティ面に関する疑問も増えてきました。
一般的に、ノーコードツールを提供する企業はセキュリティに対する取り組みを積極的に行いますが、そのセキュリティレベルは使用するプラットフォームや提供業者によって異なります。
セキュリティに関する考慮事項を適切に把握し、脆弱性の管理やアップデートが定期的に提供されているかどうかを確認することが重要です。

4. プラットフォームに依存するリスク

ノーコードでの制作は、実装できる機能やデザインだけでなく、特定のプラットフォームに依存することになり、ツールのサービス停止や価格変更などに影響を受けやすいです。
例えば、ツール側での仕様変更が行われると、Webサイトの機能や表示が変わります。また、ノーコードツールを提供する企業がサービスを終了してしまうと、Webサイトが使用できなくなる可能性があります。
ツールの利用者数や調達金額などをしっかり調査することで、信頼度が高いノーコードツールを選定しましょう。

5.Webサイト移行が困難

ノーコードツールで制作したWebサイトをそのまま他の環境に移転することが困難だというデメリットもあります。
ノーコードツールによって生成されたコードやデータは、他のプラットフォームや環境に移行する際に互換性の問題が生じることがあります。そのため、ノーコードで開発したWebサイトを移行する際は、0からコードを書いて開発する必要が出てきてしまいます。

簡単にホームページ制作できるノーコードツール3選

Webサイトの成功にとって、適切なノーコードツールを選定することは重要です。機能やセキュリティだけではなく、操作しやすさの確認も欠かせません。
ノーコードツールは全世界で300種類以上あるので、どのツールを選べばよいかわからないという人が非常に多いでしょう。初心者にも安心して使える3つのノーコードツールを紹介します。

STUDIO(スタジオ)|デザイン性が優れたノーコードツール

 

画像出所:https://studio.design/ja

料金プラン:月額980円(Starter)~
トライアル:基本機能は無料から

▼特徴▼
STUDIOは完全ノーコードでWebサイトができる日本発のノーコードツールです。
豊富なテンプレートやカスタマイズオプション、ユーザーは自分のニーズに合ったデザインを選択し、簡単にカスタマイズすることができるのが最大の特徴と言えます。

レスポンシブデザインの対応も可能です。各種のデバイスで適切に表示されるように設計されています。SEO対応機能や安定したサポート体制も整っています。
デザイン性と機能性に優れた本格的なサイトを実装する場合は、STUDIOがいいでしょう。

ペライチ|日本語サポートが手厚いノーコードツール

 

画像出所:https://peraichi.com/

料金プラン:月額1,465円(ライトプラン)~
トライアル:30日間、お試しビジネスプランの無料期間中に有料プランへの申し込みがない場合は、 無料期間終了と同時にフリープランに自動で切り替わります。

▼特徴▼
ペライチも、2014年創業の日本発のノーコードツールです。
特に個人事業主や中小企業に人気があります。サポート体制が充実していることはペライチの最も大きな特徴です。初心者向けのチュートリアルやFAQ、コミュニティフォーラムなどがあるので、ユーザーは困ったときにすぐに解決策を見つけることができます。

Wix Studio|制作会社・企業向けのWeb制作ノーコードツール

 

画像出所:https://ja.wix.com/studio

料金プラン:月額1,400円(ベーシック)~
トライアル:14日間の全額返金保証

▼特徴▼
Wix(ウィックス )は、世界的に有名なノーコードのWebサイト制作ツールです。2019年には日本法人が設立され、現在は日本語対応でのサポートも提供されています。
通常のWix*と比べて、Wix Studioはノーコードでアニメーションを追加したり、AIがレスポンシブデザイン変換してくれたり、要素のインタラクティブ化や一括変更など、制作効率も考慮したデザイン機能がたくさんあります。制作チームだけでなく、外部ユーザーとも共同作業も可能です。

※通常Wixが作成したWebサイトの表示速度が遅い・カスタマイズ性が低い・デザインを途中から変更できない欠点があります。

ノーコードツールは敵か味方か?制作会社はどのように変化していくべき?

ローコード・ノーコードツールだけではなく、近年生成AIが注目を集めるなか、Webサイトを生成してくれるツールが増えています。これまで技術的な障壁に直面していた多くの人々に、新たな可能性が創造できますね。
その背景の下で、「プロのWeb制作会社に求められるのはなんですか?」「制作会社はどのように変化していくべきなのか?」この2つを自問自答しないといけません。

Web Designing(ウェブデザイニング) 2023年2月号の『Web制作のリアル 2023』より、「最近の制作で、クライアントから強く求められるのは?」制作側が共感するコメントを以下にピックアップしました。

・Webだけに止まらず、業務全般の理解、さらには広くデジタル関連業務についてのディレクション能力が求められるようになってきました。(フリーランス・ディレクション)

・クライアント自身が更新したいと、CMSを導入することが多いです。ただし、結局はこちらで更新している場合がほとんどですが。(フリーランス・マークアップ)

・堅牢さ。昨今、セキュリティ関連の事故が目立ちますし、実際に攻撃を受けているサービスもあるので。(会社勤務・プログラミング)

・デザインを重視したサイト構築。商品撮影や写真撮影も込みで、カスタマイズももりもりに、と。(会社勤務・映像・ビデオ制作)

・クライアントの売上にダイレクトに響く施策がより強く求められていると感じます。見た目やブランディングより、、明日の売上を上げたいという要望が切実です。さらに言うと、「運用費の圧縮」と「より速い対応」、「社内での内製化」も望まれています。(フリーランス・ディレクション)

・読み込みの速さ、軽さを求められることが多い、それなのにデザインは妥協するな、と…(会社勤務・プログラミング)

 

「成果主義」「セキュリティ重視」「運用のしやすさ」「カスタマイズの柔軟性」という4つの傾向が見えました。

Web制作会社は、ノーコードツールを活用することで、短納期を実現し、メンテナンスや改修の手間を大幅に軽減できるでしょう。セキュリティの確保はもちろん、成果を生み出せるように適切なWeb戦略を構築したり、UXを最適化したりすることに注力し、プロとして1社1社のクライアントに寄り添っていくことがますます重要になりますよね。

そのため、Web制作会社にとっては、ノーコードツールは敵ではありません。味方に取り込んでうまく利用することでお仕事の幅が広がると考えます。

まとめ

以上、ノーコードツールの特徴や代表例を紹介しました。

ノーコードツールはプログラミングの知識が不要なため、誰でも簡単に使い始めることができますが、複雑な機能や独自のデザインを実装する場合、制約があることが多く、セキュリティの懸念やツールのサービス停止や価格変更などに影響を受けやすい欠点があります。

専門のWEB制作者がホームページを作成する目的やターゲットユーザーなどをヒアリングをした上で、一からわかりやすくご提案をさせていただきます。ノーコードツールの活用を含め、ホームページ制作会社を探している方は、お気軽にお問い合わせください。

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