企業にとって、Web サイトの新規制作やリニューアルは重要なプロジェクトです。
サイトの公開後の「保守・運用」を続けなければ、Web サイトを成長させることは難しいでしょう。
この記事は、サイトの「保守」「運用」「運営」の違いを説明した上で、成果が出るWebサイトの運用・運営体制を構築するポイントを紹介します。Web 担当者の方、ぜひご参考ください。

Web サイトの運営とは?

Web サイトを公開した後にその状態を確認することが不可欠です。
例えば、アクセスが多い時間帯から情報の掲載タイミングを検討したり、ユーザーの行動からコンテンツを追加したり…といった施策を行うと、サイトの改善に繋げることができます。

「サイトの保守」、「サイトの運用」、「サイトの運営」はどのような内容を指すのでしょうか。
「保守」「運用」「運営」といった概念と作業内容を理解することは、サイトの運営体制づくりに繋がるので、これからそれぞれの違いを説明します。

➊ サイト保守、サイト運用、サイト運営の違い

⦿ サイト保守とサイト運用の違い

「サイト保守」は、Webサイトを公開後もユーザーが支障なく閲覧できる状態を保つためにシステムを改善・修正する業務です。
「サイト運用」は、Webサイトの目的を実現させるために、コンテンツの企画や改善、システム更新など、さまざまな業務を行うことです。
Web サイトを安定・成長させるため、保守と運用の連携が重要なので、2つの業務を合わせて「保守運用(運用保守)」と呼ぶことが多いです。
それぞれの説明と具体的な仕事内容を、下記の図にまとめました。

⦿ サイト運用とサイト運営の違い

「運用」「運営」の意味は同じではないかと思われる方もいるでしょうが、実はこの二つの言葉は異なる意味を持っているのです。

weblio辞書の定義によると:
運営とは、団体などの機能を発揮させることができるように、組織をまとめて動かしていくこと。
運用とは、特定のシステムや設備、プロジェクトなどを管理し、その機能を最大限に発揮させるための活動を指す言葉である。

上記を参考にし、筆者は「サイト運営」と「サイト運用」の違いは以下のように考えています。

サイト運営とは、組織をまとめて Web サイトの機能をより高い価値を発揮させること。
サイト運用とは、プロジェクトなどを管理することで Web サイトの機能を最大限に発揮させること。

サイト運用はサイトを「ツール・道具」として使用する目的が強い一方、サイト運営にはサイトの運営を通じて組織が能動的に動いていく意味があると思います。

「ECサイト運用」より「ECサイト運営」のほうがよく聞こえていると思いませんか?
多くの会社は「EC」を一つの事業として立ち上げるので、運用より運営のほうが適切かもしれません。
また、デジタル技術の普及により、WEB 集客やサイトの運用を統括させるネット事業を展開する企業が増えてきましたので、「サイト運営」のほうが多く使用されているでしょう。
Web サイトの活用という視点から見れば、同じ意味だと思いますが、サイトの役割や存在意義によって言い方が若干変わります。
本記事は、「主体性のある組織・体制」を重要視するため、以下の内容はサイト運用ではなく、サイト運営を言います。

次は、運営と保守の具体的な作業内容について説明していきます。

➋ Webサイト保守の仕事内容


サイト保守それぞれの業務について詳しく見ましょう。

⦿ドメイン/サーバーの契約管理

Web サイトにとって切っても切れないのが「ドメイン」と「サーバー」です。
簡単に言えば、サーバーがインターネット上で自社サイトが存在するための「土地」
ドメインがインターネット上で自社サイトがどこに存在するのかを表す「住所」になります。
契約更新を忘れるとWebサイトが表示できなくなってしまうので、契約期間はいつまでなのか、契約の内容や状況を把握し、適切に対処しましょう。

⦿SSLサーバー証明書の更新
SSLサーバー証明書は、「Webサイト運営者の実在」と「通信の暗号化」を証明するためのものです。
SSLサーバー証明書を更新しないと、Webサイトが表示されなくなる場合があります。
表示されなくなること以外に、パスワードやクレジットカードなどの情報を第三者に盗難される恐れがありますので、ぜひ作業実施のスケジュールを確保してください。

⦿バージョンアップ作業(CMS・PHPなど)
WordPress などCMSを導入している場合、脆弱性への対応や利便性の向上などで不定期的バージョンアップがあります。
しかし、最新バージョンが配信されるたびに更新する必要はありません。
セキュリティ上のリスクはありませんか?新たなバージョンではなにが改善されるのか? と、様々な観点から検討したうえで、実施可否を判断しましょう。

⦿最新のブラウザ、端末への対応
ブラウザと端末は、Web サイトが表示されるかどうかに直結する部分です。Web サイトはブラウザごとの表示の違いがあります。
パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末も次々と新機種が登場し続けています。
ブラウザと端末での Web サイトの表示確認を忘れないでください。

⦿障害やトラブル発生時の対応
Web サイトを運用するにあたり、考えておかなければならないのが、障害発生時の対応です。
障害発生後の対応次第で会社への印象が大きく変わってしまいます。
事前に障害レベルに応じた対応方針やフローがあれば、スムーズで着実な準備を進めることは可能です。

以下の障害発生時の対応フロー例をご参考にしてください。
画像引用元:障害発生時の対応|日本最大級の電子書籍ASPインフォカート(https://www.infocart.jp/failure.php)

➌ Webサイト運営の仕事内容

サイト運営それぞれの業務について詳しく見ましょう。

⦿コンテンツ企画/編集(テキストや画像などの更新/修正)
Web サイト運営に重要な部分は「コンテンツ更新」です。
サイトに掲載した情報が古くなっている場合は、会社の信用にも影響するかもしれません。
また、サイト内のコンテンツを充実させていくことは検索エンジンからの評価にも繋がり、Web 集客にも効果が期待できます。
しかし、ここに注意していただきたいことがあります。漠然とコンテンツを更新するのではなく、ぜひSEOや見込客のニーズを意識したコンテンツの作成・追加してください。
ホームページの更新には専門スキルが必要です。テキストや画像の更新は外部の会社に依頼すれば、社員が本来行なう仕事に専念することができますし、サイト更新効率も上がります。

⦿アクセス解析
アクセス解析によってユーザーの状況やサイト内での行動を把握・分析し、継続的な改善を行っていくことができます。
Web マーケティングには不可欠なアクセス解析ツールの種類は様々です。
Google 社が提供する「Google アナリティクス」というアクセス解析ツールは、高機能なうえで無料で使えるため、多くの Web サイトに導入されています。
アクセス解析を行うためのデータ取得は不可逆であるため、早い段階に導入を準備しましょう。

⦿お問い合わせの対応方法
ほとんどのWeb サイトには問い合わせフォームが設置されています。
問い合わせ内容によって、対応する部署が違います。
例えば、クレームであればカスタマーセンター、商品に関しては商品開発部に連絡することがあるかもしれません。どの部署に回せばよいかを整理し、適切に対応フローを作成したほうがいいですね。

⦿Web サイトの集客施策の立案
企業の Web サイト運営の目的と言えば、集客やビジネスに貢献できることでしょう。
先述のとおり、Web サイト運営には単にコンテンツの更新だけではなく、「集客施策の立案」も大切です。
そのため、マーケティングの観点から成果が出る施策も考えないといけません。
集客方法と言えば、Web 広告やSNS運営、コンテンツマーケティングなどがあります。
ぜひサービスやターゲットユーザーの特徴に合った集客方法を選びましょう。

上記以外に、ビジネスの成果を上げる Web サイトにするため、ユーザビリティ改善や SEO 対策なども不可欠です。UX/UI デザイナーやシステムエンジニアのほうが専門的なので、ここでは割愛します。

成果が出る Web サイトの運営体制づくりの秘訣

Web サイト・ホームページは「WEB 戦略」の土台です。
企業の課題や目標はそれぞれですが、共通点はなんですか?
それは、成果を継続的に出す体制です
それでは、弊社の経験を事例として、運営体制を構築するポイントを紹介します。

➊ 評価指標(KGI・KPI)を設計する


「KGI」や「KPI」といったビジネス用語を聞いたことがありますか?
KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標のことです。
KPI(Key Performance Indicator)とは重要業績評価指標と訳されます。KGIを達成するための中間指標です。
Web サイトを設計・運用するうえで、その目的に応じてKGI・KPIと呼ばれる評価指標やKSF(重要成功要因)を設定することが不可欠です。
なぜなら、Web サイトの目標達成状態を正しく把握し、適切な対策を行うことができるからです。
KPI の達成率が低い、進捗が思わしくないなどのようなことが発生するかもしれません。現状に合わせて各指標を適切に調整しましょう。

※以下は弊社ホームページ運営の KPI 一例と運営の KPI ツリーです。

➋ 運営メンバーの役割や社内承諾フロー、スケジュールを決める


新規サイトの立ち上げやリニューアルを行う場合、関連部門からメンバーを選出してチームを立ち上げるのが一般的です。
Web サイトの目標を達成させるため、サイト公開後の「サイト運営チーム」を作ることも必要!
また、メンバーの主体性を最大限に発揮させるよう、チームメンバーや社内承諾フローを決めましょう。
弊社の運用ルールや各担当それぞれの役割は下記となります。

外部の制作会社へ依頼する場合は、どこまで任せるかで費用は大きく変わります。
目的や作業内容を明確化せずに外注先へ丸投げしてしまうのは危険です。
また、更新担当者の対応スピードややり取りのしやすさも検討すべきポイントとなります。

➌ 定期的なMTGとアクセス解析でPDCAサイクルを回す


アクセス解析データばかり見ると、机上の空論になりかねません。
定期的に MTG を行うことで、運営体制の改善だけではなく、Web サイトに対する認識の統一・目標達成につながります。
例えば、BtoB ビジネスの場合は営業担当に問い合わせ顧客の詳細や経路を確認します。
現場担当からいただいたフィードバックには集客のヒントがたくさんあるでしょう。
ぜひ現場の声を聴いて、見込み客が共感できるコンテンツを掲載してください。
※PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとって作られる言葉です。

最後に

以上、Webサイト運営の業務内容と体制づくりの注意点を紹介しました。
Web サイトの公開は終点ではありません。公開後の運営こそが本番です。
保守運営を外部の Web 制作会社に依頼することで、人件費などのコストを抑えられるだけではなく、Web サイトを常にベストな状態へと保つことができます。

弊社はWeb サイトの課題を見つけ、企画から運用・保守まですべてを一貫してサポートします。
Web 制作や集客などのお悩みがありましたら何なりとご相談ください。

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