インターネット広告は、データに基づいて運用することで、費用対効果を高めることができます。
しかし、データ活用が進むにつれて、ユーザーは個人情報の保護をより重視するようになりました。2017年頃から、個人情報保護の観点からCookie*規制に関する声が世界中で高まっています。サードパーティーCookieの制限により、ユーザー行動の追跡が難しくなり、ターゲティング広告やリターゲティングの精度が低下しています。
こうした背景の下で、Google広告の「拡張コンバージョン機能」がリリースされました。
この機能は、サードパーティーCookieの制限によるターゲティング広告やリターゲティングの精度低下に対応し、広告効果を維持・向上させることを目的としています。本記事は、拡張コンバージョンの仕組み、出来た背景や設定方法を詳しく説明します。
※Cookie(クッキー)は、ウェブサイトがユーザーのコンピュータやデバイスに保存する小さなデータファイルです。
目次
拡張コンバージョンの仕組みとメリット
詳しい設定方法を説明する前に、Google広告の拡張コンバージョンの仕組みとメリットを紹介します。
拡張コンバージョンは、より正確なコンバージョン測定と高度な入札単価設定を可能にする機能です。
この機能は既存のコンバージョン タグを補完するもので、自社のウェブサイトで取得したファースト パーティのコンバージョン データをハッシュ化し、プライバシーに配慮した方法で Google に送信します。
使用場面によって、拡張コンバージョンには「拡張コンバージョン(ウェブ向け)」「リードの拡張コンバージョン」2種類あります。それぞれの違いは以下です。本記事は、拡張コンバージョン(ウェブ向け)を紹介します。
拡張コンバージョン(ウェブ向け) | リードの拡張コンバージョン |
ウェブサイトで発生する売上とイベントをトラッキングしたい | ウェブサイトで獲得した見込み顧客がウェブサイト外で行う購入(例: 電話やメールによる)をトラッキングしたい |
拡張コンバージョンの仕組み
ユーザーがウェブサイトでコンバージョンを完了すると、メールアドレス、氏名、住所、電話番号などのファーストパーティデータが取得されます。このデータはコンバージョントラッキングタグによってハッシュ化された形式でGoogleに送信されます。
その後、ハッシュ化されたユーザーデータと、広告に対してなんらかの操作を行ったユーザーがログインしていたGoogleアカウントが照合され、コンバージョンをより正確に測定できるようにします。
【拡張コンバージョンのメリット】
・本来なら測定できなかったコンバージョンを回復する
・より優れたデータで入札単価の最適化を改善する
・ファースト パーティの顧客データをハッシュ化することでプライバシーを保護する
GTMで拡張コンバージョンを設定する方法
それでは、Google タグマネージャー(GTM)で拡張コンバージョンの設定手順を紹介します。
実は、Google広告の拡張コンバージョンを設定する方法は3つあります。Google タグマネージャーの使用が一般的なため、「Google タグをWebサイトに直接設置する方法」と「Google Ads APIを利用する方法」についてはここでは割愛します。詳しくは下記の公式ヘルプを参照してください。
▶Google タグを使って使ってコンバージョン トラッキングをページに直接実装する方法
参考:Google広告ヘルプ|Google タグを使用して拡張コンバージョン(ウェブ向け)を設定する
▶拡張コンバージョン データを API 経由で設定する方法
参考:Google広告ヘルプ|Google Ads API の拡張コンバージョン(ウェブ向け)について
STEP1:Google広告の管理画面の事前準備
まず、Google広告の管理画面で準備作業を行いましょう。
【操作手順】
1.Google広告の管理画面の「目標」をクリックします。
2.コンバージョン>「設定」をクリックします。
3.「拡張コンバージョンをオンにします」にチェックを入れます。
4.「Google タグ」か「Google タグマネージャー」、「Google Ads API」を選択できるようになります。「Google タグマネージャー」を選択して、「保存」ボタンをクリックします。
STEP2:標準の自動拡張コンバージョンを設定する
Google タグマネージャーで拡張コンバージョンを設定する方法は「自動収集」「コード」「手動設定」の3種類です。それぞれの詳細は以下の通りです。
説明 | 特徴 | |
自動収集 | ページ上のユーザー提供データを自動的に検出する方法 | 最も簡単な設定方法、信頼性に劣る |
手動設定 | ページから取得する顧客データを手動で設定する方法 | 「自動収集」よりもデータの精度が高い |
コード | 顧客データを送信するコードスニペットを、Webサイトに追加する方法 | 最も信頼性が高いが、プログラミングの知識が必要 |
「コード」や「手動設定」の方法は、サイトの構造によって設定手順が異なるかもしれません。開発担当者と連携し、公式ヘルプページを見ながら進めることが必要です。本記事では、プログラミングの知識が不要な「自動収集」の方法を解説します。
【操作手順】
1.Google タグマネージャーの「タグ」画面において、拡張コンバージョンを設定したいGoogle 広告コンバージョントラッキングタグをクリックします。
2.「自社のウェブサイトでユーザーから提供されたデータを含める」をクリックします。
3.「Automatic collection」(自動収集)を選択し、「保存」します。
コンバージョンを設定しているページで、顧客データを取得できない場合
コンバージョンを設定しているページで、顧客データを取得できない場合は、ユーザー提供データ イベントタグを使って自動拡張コンバージョンを設定することが必要です。
【操作手順】
1.Google タグマネージャーの「タグ」画面において、「新規」をクリックし「タグの設定」から[Google Ads User-provided Data Event](Google 広告ユーザー提供データイベント)をクリックします。
2.「コンバージョンID」にGoogle 広告のコンバージョントラッキングIDを入力します。
3.プルダウンで新しい変数>「Automatic collection」(自動収集)を選択しす。
4.「トリガー」をクリックし、右上の「+」ボタンをクリックします。
5.「トリガーの設定」から「フォームの送信」を選択します。
6.「すべてのフォーム」を選択し、「保存」をクリックし、Google 広告のユーザー提供データイベントタグを保存します。
拡張コンバージョンを設定する注意点
拡張コンバージョンの動作検証方法
拡張コンバージョンを導入したら、実装が適切に動作していることを確認しないといけません。
「Chrome デベロッパー ツールで実装の検証」と「48 時間後に、診断レポートで実装の確認」が不可欠です。「Chrome デベロッパー ツールで実装を検証する」方法は、下記の公式ヘルプを参照してください。「診断レポートで実装の確認方法」のみを説明します。
参考:Google広告ヘルプ|Chrome デベロッパー ツールで実装を検証する
【操作手順】
1.Google広告の管理画面の「目標」をクリックします。
2.コンバージョン>「概要」>「診断」をクリックすると、拡張コンバージョン タグの診断レポートと拡張コンバージョンの指標が、各セクションに表示されます。
※タグ診断レポートで、なんらかの問題があることがわかった場合は、通知とヘルプセンターの手順に沿って問題を解決することは可能です。
ユーザーの同意取得が必須
拡張コンバージョンの性質上、ファーストパーティデータ(1st Party Data)をGoogleに送信するためユーザーの同意取得が必要です。
ファーストパーティデータの取り扱いについては、自社の法務部門で事前に確認しましょう。
ファーストパーティーデータ、セカンドパーティーデータ、サードパーティーデータの違いが分からない方もいらっしゃるかもしれません。それぞれの説明と具体例を以下の表にまとめました。ご参考になれば幸いです。
説明 | 例 | |
ファーストパーティデータ (First Party Data) |
自社が保有しているデータ | 顧客情報(年齢・性別・履歴など) 具体例:ECサイトの購買データ |
セカンドパーティデータ (Second Party Data) |
他社が保有しているデータ | 他社のファーストパーティーデータ 具体例:双方の合意に基づいてデータの共有が行われます |
サードパーティデータ (Third Party Data) |
自社以外のサイトから収集した顧客に関するデータ | エリア別人口分布、性年齢別趣味、SNS使用状況など具体例:リサーチ会社が収集したデータを購入する |
まとめ
本記事では、Google広告の拡張コンバージョンの仕組みや設定方法、注意点について解説しました。
ウェブサイトの目的やコンバージョンの種類に応じて、設定方法は柔軟に変更することも必要です。CV計測の精度と機械学習の精度を維持するために、弊社が運用しているすべての案件は「拡張コンバージョン」機能を導入しています。CVRが明らかに改善された案件もあります。設定方法は難しくないので、ぜひご活用ください!
当社はGoogle広告やYahoo!広告の正規代理店です。GoogleやMetaの公式認定資格を持つ担当者が直接対応します。インターネット広告を始めたいが、何から手を付ければいいかわからない、費用対効果を改善したい、代理店の乗り換えを検討している方、ぜひお気軽にお問い合わせください。